誇り・味方・居場所〜私の社会保障論


目次


貴重な提言に満ちた1冊(医学書院・看護技術より)
心の広い毎日新聞が、朝日新聞育ちの私に、月1回の連載を書かせてくだり、素晴らしい実践の数々をご紹介することができました。そして、この連載に目にとめてくださった出版社が現れました。写真やグラフや地図をつけて、読んだ方に、イメージを膨らませていただけるように工夫しました。
95歳で旅立った要介護4、マダラボケ、ひとり暮らしの母を看取った5年間と、母を支えてくださった方々のことを「わが母の地域包括ケア」という題で書き下ろしました。安心できる居場所と味方に包まれた母は、誇りある人生の最終章が、日本でも可能なことを証明してくれたような気がします。
人間だけがなぜハンディをもつ仲間をケアするのかを考えた『ケアという思想』も、第1部として加えました。
「奇特なお医者さんがするもの」と思われてきた在宅医療に地殻変動が起きています。日本医師会は在宅医療を「ミッション」に掲げました。あの東大医学部まで変わり始めました。若者たちも変わりつつあります。歯科医、薬剤師、看護職、介護職との連携が大前提です。1985年6月、朝日新聞の社説に「身近に頼れる家庭医を 」と書いた願いが、実現に一歩近づきました。(毎日新聞「私の社会保障論」2013.9.25)
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「入院すると認知症が進む、寝たきりになる。でも、しかたがない」という日本独特の「あきらめの常識」を覆すケアmethodがフランスからやってきました。認知症の人が暴力や暴言を発するとしたら、それは、介護する人や看護職が「暴力をふるう敵に見えてしまうから」という指摘にハッとしました。病院団体で始まる研修や専門誌の特集に先駆けてご紹介します(^_-)-☆(毎日新聞「私の社会保障論」2013.8.28)
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若者の投票率の低さや、女性議員の数の少なさを嘆く声が聞かれます。「障害者が十分な選挙情報を得られなかった」という苦情も寄せられています。 対照的なのが北欧です。若者の投票率も女性の政界進出も、日本よりずっと高いのです。その秘密は、選挙を題材に子どもの時代から学ぶ、自然に身につく民主主義にありました(毎日新聞「私の社会保障論」2013.7.31)
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介護が必要な都会の高齢者を過疎の県に送り込むという、世界にも例のない計画が「産業競争力会議」の指示で検討されています。一方で、国際的にも高く評価されている「ふるさとの会」の活動も根をおろしはじめて゛います。「がんになっても、障害があっても、家族やお金がなくても、地域で孤立せず最期まで暮らせるように」との理念を掲げた挑戦です。1254人を、271人の職員で支えているのですが、実は職員のうち100人あまりは、障害や病気を抱えた人たちがケアを受けながら働く「ケアつき就労」。「名誉回復」という、真の意味の「リハビリテーション」がそれを可能にしています。(毎日新聞「私の社会保障論」2013.7.3)
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あなたが認知症になった時、親族の誰かが承諾すればたやすく精神科病院に入れられてしまう、そんな危うい法案が成立しようとしています。日本の精神科ベッドは世界の5分の1を占めてきましたが、統合失調症などの入院が減ったため経営危機に直面いしています。長年、政治献金してきた新政権に、生き残りをかけて、入院要件の緩和を頼み込んだのではないかと国会でも問題になっています。(毎日新聞「私の社会保障論」2013.6.5) 【テキストファイルはこちらから】
厚生労働省が施策の目標としている「地域包括ケア」は、秋田県の過疎の町で21世紀を前に実現していました。、「地域包括ケア」があたりまえの国、デンマークを町民とともに訪ねた町長が、システムを組み立てるとともに、ヘルパーの待遇を役場の職員なみにして、「女ならだれでもできる仕事」という悪しき常識を破ったからでした。そのリーダー、岩川さんに不運が襲いかかりました(毎日新聞・「私の社会保障論」2013.5.8)
子宮頸がんは「死を招き子宮を失う怖い病気」「ワクチンで防げる」というキャンペーンで、まだ臨床実験段階のワクチンが少女たちに接種されました。それもインフォームド・コンセントなしに。そして思いがけない被害が起きています。(毎日新聞・「私の社会保障論」2013.4.10)
超少子高齢化が進む過疎の集落の挑戦が希望の星として期待を集めています。高知県の“陸の孤島”で廃校を居酒屋と宿に変身させた「森の巣箱」、空き家を修理した「迎賓館」に全国から芸術家が引っ越して来る鹿児島の「やねだん」。秘密は理屈ではなく感動でした(毎日新聞・「私の社会保障論」2013.3.15) 【テキストファイルはこちらから】
認知症ケアを国家戦略に位置づけている5つの国と日本の政策責任者の国際シンポジウムが開かれました。海外の参加者を驚かせたのは、日本精神科協会の山崎会長の精神病院での認知症の人々のうなだれた姿でした。どの国でも、「認知症を精神病院へ」は過去のものとなり、「診断がついたら住みなれた地域でのケアへ」が戦略の基本になっているからでした。(毎日新聞・「私の社会保障論」2013.2.15) 【テキストファイルはこちらから】
障害のある人や高齢者の困りごとに寄り添う中から、日本発の共用品思想が生まれました。共用品、教養サービスは、使う人の誇りを傷つけない「さりげなさ」が身上です。(毎日新聞・「私の社会保障論」2013.1.18) 【テキストファイルはこちらから】
その国の社会保障がどの程度ホンモノかを見破るノウハウがありました。その土地の平均的な精神病院を訪ねてみるという方法です。ところが、1980年代の終わり、わたしのノウハウがもはや通用しないことを知りました。精神病院そのものが多くの国で閉鎖されていったからです。日本の精神病床は人口あたり諸外国の3〜10倍と圧倒的に多く、海外から奇異の目で見られています。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.12.14) )【テキストファイルはこちらから】
聴力、知力が保たれていながら、筋肉がやせ細り、呼吸筋がうごかなくなって死にいたるALS。人工呼吸器をつければ寿命はまっとうできるのですが、進行するとマバタキもできず意思表示をできなくなる可能性があります。この難病に見舞われながら取材を続ける記者魂に、第1回の日本医学ジャーナリスト協会賞が贈られました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.11.16)
女性が社会進出している国ほど出生率が高い、「イクメン」を結婚相手に選ぶ女性は「イケメン」を選ぶ女性の4倍、北欧では育休をとる男性の方が出世するなど、意外な現象が証明されつつあります。職業人・家庭人・地域人のひとり3役をこなせるイクメンに、いま、期待が集まっています(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.10.19)
「幻覚&妄想大会」で知られる「べてるまつり」が第20回を迎えました。生きづらさを持ち寄って仲間と一緒に「じぶんの助け方を研究する「当事者研究」という新たな挑戦は、国境を、そして、分野を越えて広がっています。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.9.21)
「事故を起こした人も傷ついている」「謝罪する場を奪われると苦しみは深まる」「人は好きなひとを訴えたりしない」「被害者が知りたいのは真実なのに、それがかなえられない」「隠すことからは、なにも生まれない」――そのような思いを共有した人たちが出会って、この春、「患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋」が立ち上がりました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.8.24)
2012年の4月から、福祉用具レンタル事業者に、「サービス計画」の策定が義務づけられました。一人一人に応じて福祉用具を選び、調整する 北欧のシステムに一歩近づいたことになります。福祉用具専門相談員とケアマネジャーのおかげで、92歳のわが母も自尊心を取り戻しました(*^―^*)(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.7.27)
「認知症の人を精神病院に送る」という国際常識に反する「流れ」を「不適切」とし、「認知症になっても住みなれた地域で暮らし続けられる社会の実現」を目標にした新たな政策「今後の認知症施策の方向性について」を2012.6.18、厚生労働省の局横断プロジェクトチームが発表しました。精神病院の組織から多額の政治献金を受け取っていた前の政権では不可能だった政策転換です。認知症「患者」という言葉を使わず「認知症の人」、「早期治療」でなく「早期対応」とするなど、ことばの使い方にも政策転換の意気込みが現れています。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.6.29)【テキストファイルはこちらから
乳がんと前立腺がんを体験した約50人ずつの“先輩”が、表情と声で語りかけてくれるサイトが評判になっています。 http://www.dipex-j.org/ 。患者や家族の支えになっているだけでなく、医師やナースの教育にも目覚ましい効果をあげています。認知症のご本人や家族が語るサイトも準備中。そこに立ちふさがったのは。。。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.6.1)
「自宅で死にたい、でもそれがかなわない」という人たちに、宮崎の「かあさんの家」から始まり、全国に広がりつつある「ホームホスピス」が注目されています。住宅街にあるごくふつうの民家、ご飯が炊き上がる香り、包丁で刻む音……。宮崎市が日本で初めて、支援事業に踏み切りました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.5.4)
(毎日新聞2011.5.27 朝刊「私の社会保障論」に加筆)
1966年におきた冤罪、千葉大腸チフス事件 の背景には、検察の「ストーリー」通りにつくられた、知能が4歳半の女性の供述調書がありました。冤罪が晴れた村木厚子さん が国からの賠償金を元にして「共生社会を創る愛の基金」が設けられました。潔白をうまく伝えられない障害のある人、刑務所にしか安息の場を見つけられない障害のある人の問題に光があたることを願ってのことでした。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.4.6)
トタンぶきのの建物から始まった「夢のみずうみ村」のデイサービス。1日の過ごし方は利用者ご本人が決めます。人気のメニューはカジノ。賭け金は「村」の通貨「ユーメ」 。一見不親切がモットーで、あちこちにわざとバリアが。。。「師匠」という活動が、誇りが目覚めます。「制度があるからやろう、はダメ。いいものは制度があとから追っかけてくる」という作業療法士藤原茂さんの心意気に感動しました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.3.9)
法律や制度は建物に似ています。使い始めたときには、足場も、描いては消した設計図も片づけられて思いが伝わらないのです。介護保険誕生の原点を訪ねるとともに、自宅での安らかな最期に挑戦する山崎章郎さん の到達点をご紹介しました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.2.10)
施設の4畳半の部屋に親子3人で住み込んで利用者と同じ暮しを体験した田島良昭さん。 「施設にはふつうの生活がない」と実感して改革に乗り出しました。2007年、日本で初めて施設を解体。グループホームーと職場で知的なハンディのある人たちを支えていったのですが、あるとき思いがけないことに気がつきました。そして。。(毎日新聞・「私の社会保障論」2012.1.13)
2006年12月国連は障害者権利条約を採択しました。尊厳の尊重、差別されない権利、社会へのインクルージョンを定め、実質的な平等を保障するために「合理的配慮」という考え方を示しました。馴染みのないこの2つの概念を、全盲の弁護士と全盲の社会学者が明快に解説してくださいました。(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.12.9)
「相部屋の方が和気あいあい」という神話は、1999年にすでに覆されていました。にもかかわらず、分権の名のもとに「雑居部屋」をわざわざ新設しようとする自治体が現れましたw(゜o゜)w (毎日新聞・「私の社会保障論」2011.11.11)
その国の真の豊かさはお年よりの口元に表れるというのに、私たちの国では惨憺たる有り様です。そこから抜け出す方策があるのに怠った結果です。(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.10.14)
異様に多い日本の精神病床を温存して、認知症の人の地域での支えの貧しさを糊塗する。こんな悲劇的な政策は1日も早く終わりに。(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.9.16)
「辛いけれど、事故の再発を防ぐことに役立った。無駄ではなかった」と医療事故にあった人や遺族が納得できる新しい文化を日本にも。(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.8.19)
「プライバシーがなく、見知らぬ人との共同生活。来たかったわけではない〜そんな避難所と同じ運命が日本人の老後には待っている」という問題提起、そしてその解決法は?(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.7.22)
政策の決定や実施過程にサーピスを利用する本人が参画する「利用者民主主義」は、「国から自治体へ」「自治体から現場へ」の分権に次ぐ「第3の分権」とデンマークで呼ばれています。「規制緩和」「民営化」「自助努力」「市場原理」の日本式行革4点セットより、エレガントで効果的です。(毎日新聞・「私の社会保障論」2011.6.24)
政策判断を誤らせる役所言葉、「国民負担率」と「特養ホーム待機者42万人」の魔術的カラクリについて、毎日新聞・くらしの明日・「私の社会保障論」 2011.5.27に書きました。
民主・自民・公明・みんなの四党幹部が、社会保障や税の共通番号制度導入を目指す方向で一致。先進諸国に大幅に遅れをとったこのシステムが実現に向かって動き始めました。日本独特の政治的な配慮から見送られてきた番号制度が、もしも20年前に始まっていたら、防げたはずの無駄や混乱について、実務にも通じた磯村教授が明快に解説してくださいました。
療養病床を削減すると“介護難民”があふれるという説の真偽は?
「国民が創る新しい医療」を掲げてスタートした「医療政策国民フォーラム」への提言です。
年金の未納も未払いもないデンマーク、その基盤となっている電子政府政策について、京大・東大の大学院をへてデンマークIT大学の博士課程に在籍中の安岡美佳さんが解説。デンマーク日本人会だより09年3月号から転載させていただきました。
「良心的に生活している庶民にとってよいこともたくさんある」という、ニューヨーク、マンハッタン在住の国際税務専門職、肥和野 佳子さんの報告です。
官邸で開かれた懇談会の最終報告をpdfでアップしました。青字は、私が強く提言した部分です。
官邸で開かれた第1回厚生労働行政の在り方に関する懇談会での浅野さんの発言です。
東京大学医療政策人材養成講座の2期生、伊藤雅治、秋元秀俊、尾崎 雄、小谷 幸、白川光政・佐藤(佐久間)りかのみなさんの共同研究。代表の伊藤雅治さんは、元厚生省健康政策局長です(^_-)-☆
提言は「患者の声を医療政策に反映させるあり方協議会」の創設につながりました。

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