卒論・修論の部屋

市民・患者が医療情報を得ることの必要性とその方法としての医療情報室の役割と展望
池上英隆さん

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 前節のように、医療情報には様々なニーズがあることがデータから分かった。そのデーこの章では、前章までの医療情報室の現状、医療情報の多様な種類、を踏まえて、これから医療情報室がどのような役割を果たすことが出来るのか、その展望を考察する。

4.1. 医療情報室の役割

 医療情報室の役割を3つに分けて考察することにする。1.医療情報を得る場所、2.医療情報を発信する場所、3.憩いの場所、の3つである。1.は情報を受ける側として情報室を利用するのに対し、2.は情報を与える側として情報室を利用するという意味である。3.は医療情報とは直接的には関連しないが、重要な役割である。

4.1.1. 医療情報を得る場所

 医療情報室の役割の一つめは文字通りの医療情報を得る場所としての役割である。前章で述べたように医療情報にも様々な種類がある。市民・患者はそれらの多様な情報を受ける側としての情報室を利用する。また、Information Therapyという考えも有り、情報自体が「治療」でもある。現在の情報室の役割はこの情報を得ることがメインである。前章の医療情報の分類を基に、それぞれの情報がこれからどのように得られるようにすべきかを考察する。

i) 医学情報

 医療情報の中でもニーズが多く、筆者が見学した施設の中でも全ての施設で提供されていたのは医学情報である。その情報の量と質については、それぞれの特徴があった。量を確保するには、書籍を中心とする情報源を購入するための予算が必要である。質を確保するには、予算に加えて運営する人材が必要である。予算についてと、人材について、2点を筆者の見学レポートを基に考察する。
 まずは情報室の予算であるが、筆者の見学した中では1.病院(京都南病院、東京女子医大、静岡がんセンター)、2.図書室を運営する院外の団体(国立長野、国立大阪)、の二種類があった。
 病院で予算を組む場合、十分な資金があれば資料も十分な量を確保できる。東京女子医大、静岡がんセンターは設立時に十分な予算を組んでいるため、初期段階としては十分な資料が揃っているといえるだろう。しかし、2年目以降の予算については未定な部分が多いため、情報の量と質を維持できるかどうかはこれからの課題である。設立時には十分予算を組んで、計画を練っている場合が多いが、2年目以降の予算が少なかったり、将来のビジョンがはっきりしていなかったりする場合も多いようだ(1)。京都南病院では司書がいることもあり、予算も病院から出されているため、情報の量・質の維持については行われている。
 院外のNPOなどの団体が運営する場合の一番のネックはこの予算面であろう。国立長野では、資金が十分でないため、最新資料を十分に揃えられないとのことである。国立大阪では、初期段階の費用は基金があるが、これからの運営費用は寄付に頼っているため、十分な予算を確保できるかは見通しがついていない。予算の確保方法として、国立長野では情報室の広報で寄付の募集を始めた。国立大阪でもCOML会報や利用者に直接呼びかけるなどで、寄付を募っている。
 予算を確保する方法は、十分な予算を確保できるという点で病院から出すのがベターである。実際に、病院から予算の出ている施設は資料が十分揃っている。しかし、国公立病院では病院自身が情報室を運営することは現在ではなかなか認められないため、NPOに丸投げ状態である。NPOなど外の団体が運営しても資金を出すことが可能なシステム(例えばPFIなど)が資金面の問題の一つの解決策となるだろう。
 次に人材についてだが、情報の質を高め、保つためのキーパーソンは司書である。司書は情報のプロフェッショナルであるので、情報の質を高く保つためには司書の能力が最も重要である。京都南でも、専任司書が古い書籍と新しい書籍を入れ替え、常に情報を新しいものに保つようにしている。専任司書の居ない国立長野、国立大阪では情報、特に書籍を選ぶ判断が難しいとのことである。初期段階の資料は著名なテキスト、辞典類を揃えることである程度対応できるが、その質を保つことは専門の技術を持ったスタッフが居ないと難しいであろう。
 資料の質を高めるという点で、もう一人のキーパーソンは看護師である。それもある程度の経験・技術をもった看護師が望ましい。東京女子医大の例であるが、看護師のボランティアが居る事で、医学的知識を求められた時の対応がしやすいとのことであった。司書は情報のプロフェッショナルであるが、医学に関しては未知の部分もある。看護師、特に臨床現場にいたことがあれば、患者が必要とする情報を的確にアドバイスすることができる。書籍に書いてある用語が分からない場合なども役立つだろう。また、相談を持ちかけられたときのアドボカシーとしての役割も果たすことができるだろう。静岡がんセンターでは、司書で対応できない場合は看護師が対応し、よろず相談とも連携しており、司書と看護師が連携を取れている良い例である。
 医学のプロフェッショナルとしては医師も考えられるが、情報室のスタッフとしては勤務することが難しいだろう。理由は、時間の確保が難しいからである。京都南病院のような委員としてアドバイザー的に関わり、必要なときはすぐに相談できる体制は整えておくべきであろう。
 情報の質という点では、システム的な問題になるが、EBMによるガイドラインの確立も必要であろう。
 医学的に解明されていない健康食品などの代替療法についても、情報の吟味をし、質を高めていかねばならない。代替療法自体はこれからの医療に不可欠なものであるが、「いかがわしい」ものも多いので、情報室ではこれらの情報については十分検討を重ねなければならない。今回見学した施設ではこのような健康食品についての資料は排除しているとのことであった。
 医学情報については、情報の量を揃え、質を保ち、それを探し出す役割の司書と、それを患者にとって生きたものにする役割の看護師の2人の連携がこれからは必要であろう。

ii) 医療機関情報

 医療機関情報はニーズはデータでは一番多かった。また、筆者のボランティア体験でもニーズが多かったものでもある。しかし、医療機関情報は揃えている情報室は少ないようである。
 医療機関情報を提供するにあたって、問題となるのはセカンド・オピニオンとの兼ね合いである。特に病院が情報室を運営している場合は、なかなかアドバイスしにくいのではないだろうか。また、利用者側も病院が運営していることを知っていれば、他院にかかるためのアドバイスは聞きづらい。このような場合はNPOなど病院外の組織が運営していることが役立つだろう。
 医療機関情報は先にも述べたように病院の質に関する情報が入手しづらい。そのため、情報室でもこの種の情報に関してはアドバイスが難しい。例えば、「リハビリテーションを行っている病院」という情報の検索はできるが、どこの部位のリハビリが得意かまではなかなか分からない。このような病院の質に関する情報を増やすと共に、この種の情報に精通した人材の育成も必要であろう。
 医療機関情報を得るためには2点の改革が必要である。一つは、セカンド・オピニオンに関する病院と利用者の双方の意識改革である。つまり、病院側は遠慮せずに聞ける態勢を整えること、利用者側は遠慮せずに聞くということ、である。もう一点は、医療者側の情報公開である。中でも、患者が本当に必要とする情報を公開していかねばならない。
 情報室としては、このような情報を広く集め、情報を吟味する力を持った人材を育成することが必要になるだろう。

iii) 診療情報

 診療情報は近年特にニーズの高まっている情報である。医療過誤増加による医療不信から公開を求めるケースが一昔前ではあった。近年では自分の体の情報を知っておきたいという体の自己管理という面でのニーズや、自分の体の情報は自分のものであるという意識が高まってきてのニーズが大きくなっている。そのニーズの高まりや世論により、カルテの開示やレセプトの開示は行われるようにはなってきた。しかし、法制化で義務付けられるところまでは至っていない。診療情報を得られるようにするためには、まず法制化を始めとするシステムの改革が必要である。
 また、ニーズが高まっているとはいえ、市民・患者だけでなく医療者の間にもカルテは病院・医師のものという意識もまだ残っている。このような意識を改革することも必要である。カルテは医師が記録を留めておくためだけのものではなく、医師−患者間のコミュニケーション・ツールとして用いられなければならない。
 情報室として具体的にこのような診療情報を見られるようにするには、電子カルテの導入が一つの解決策である。電子カルテで院内外どこででもカルテを見られるようにすれば、情報室で利用者が自分のカルテを見ながら、情報を探すということも可能である。情報室がカルテ開示の拠点として計画されている病院もある。「私のカルテ」のように患者が持ち帰ることのできるカルテも一つの方法であるが、将来的には紙媒体ではなく電子媒体の方が、情報検索という観点からは便利だろう。また、電子カルテ、「私のカルテ」の導入で、患者が自分で書き込むことも出来るようになれば、コミュニケーションの双方向性も生まれることが期待される。
 カルテやレセプトを開示するだけでなく、その情報をいかに利用するかのアドバイザーも必要である。カルテについては、看護師や診療情報管理士、レセプトについては事務職、がそれぞれ利用者のサポートにあたれるように、情報室との連携を取れるようにしておかねばならない。さらに、診療に不満がある場合は医療相談窓口やアドボカシーとの連携、医療費に関することは福祉の窓口との連携も視野に入れる必要があるだろう。

iv) 予防・健康情報

 予防情報、あるいは健康に関する情報という、病気になる前の段階の情報はニーズは高いものの、入手経路が確立していない。そのため、マスコミの情報を鵜呑みにしてしまう場合も多い。マスコミの情報は「最新」の情報ではあるが、確立されていない場合も多い。これらの情報が真実であるのかどうかを調べるだけの十分な資料を揃えることも情報室の役割である。
 予防・健康情報というのは、よほど自分で健康に気を遣っている人でなければ、積極的に求めることはない。このような情報を市民に広く伝えるには、気軽に来られるようなイベントを行うことが考えられる。国立大阪の場合では、定期的に講演会、映画鑑賞会等のイベントを行っている。このようなイベントを行うことで、医療や健康に関する興味を湧かせることができたり、情報室自体のPRにもなる。
 予防という観点で言えば、システム的には家庭医が存在することが望ましい。しかし、現在の日本の制度では家庭医があまり機能してない。家庭医のシステムが確立されれば、家庭医と情報室の連携で、予防情報を提供がしやすくなるだろう。

v) 福祉情報

 筆者の情報分類の中で、現在の情報室に最も欠けている情報はこの福祉情報と次項の経験的情報であると考えている。医療と福祉が別個のものとして捉えられてきたということがあるのかもしれない。しかし、最初に述べたように、「医療=治療」から、「医療=病気を持ったまま生きるための手助け」へと変化している。そのため、在宅での看護・介護、障害への対応、などが必要になっている。このような仕事は福祉の分野であるので、福祉と医療の連携が欠かせなくなってきている。
 このような福祉の情報は、病院においては医療ソーシャルワーカー(MSW)といった福祉の専門職が持っている場合が多い。大きな病院では、MSWを置いているところも少なくない。MSWが医療相談窓口として勤務している場合もある。MSWを中心とした福祉職と情報室の連携は欠かせなくなってくるだろう。
 特に医療と福祉の連携が必要な分野は高齢者についてである。社会的入院が問題になって随分と経つが、未だに十分な対策がなされているとは言い難い。入院すべきなのか、自宅での介護が良いのか、施設へ入所するのがよいのか、などこれからは医療者、福祉職、利用者、家族全てが連携して考えていかなければならない。そのための資料を提供する場所として、情報室が利用できればと考えている。

vi) 経験的情報

 福祉情報と同じく、医療情報で見落とされがちなのが経験的情報である。経験的情報とは、病気を実際に体験した患者・家族の経験談が中心である。これらの情報は情報化するのが難しかったことと、治療には医師の医学知識だけで十分であると考えられていたという理由のため、なかなか注目されなかった。しかし、慢性病へと疾病構造の変化したことで、病気を持ったままの生活が必要になったため、生活のための情報として注目されてきている。
 この情報の一番の入手先は同じ病気を体験した患者・家族である。問題は、この情報をどのように提供するかである。まず考えられるのは、闘病記を読むことである。これは書籍を揃えれば良いので資料集めは簡単に思える。しかし、タイトルで病気が分からなかったり、中身が特定の治療法を勧めるものであったり、「死」を扱ったものであったり、など問題点も多い。資料の選定にあたっては、司書を中心に十分に吟味する必要がある。和田氏がコンサルタントした情報室の中には、病院がホスピスを扱っている場合は「死」とテーマにしたものも扱うなどの工夫を行っている。
 この情報の入手先として重要なものには患者会がある。情報室の中には患者会の資料・広報などを取り揃えているところもある。しかし、患者会の資料を情報室側が受け身となって揃えるだけでなく、患者会が自ら情報を発信する場所としても情報室は利用できるのではないかと考えている。これについては次節で述べる。
 新しい試みとして、国立大阪では、体験談をデータベース化して提供するという試みを始めている。しかし、現在の所体験談は十分な数が集まっていない。体験談を書くということは患者にとっては辛い体験を思い起こすことであり、行動力が必要なことである。一方、多くの患者は他の患者に自分の体験を語りたいという思いも持っている。まずは、その場を提供したということで国立大阪の試みは評価できる。
 「書く」行為は行動力の必要な難しい行為であるが、「語る」行為はそれに比べれば比較的しやすいことではないだろうか。多くの患者会で、お互いの体験を語るということは行われている。また、NBM(=Narrative-Based Medicine)という語りを重視した医療も登場している(2)。語り合いの場を情報室で提供することがで、お互いの情報交換にもなり、癒しの効果も生まれるのではないだろうか。このことについては後に考察する。

vii) 情報の情報

 情報の情報とは、情報がどこにあるかという情報のことである。情報の案内役とも言える。
 図書館、特に欧米の図書館では、市民が情報を得る手がかりとしての役割を果たしている。以前に述べた、レファレンス・サービス(情報検索)が充実しているのである。医療情報室にもレファレンス・サービスのようなサービスを導入することで、利用者が情報を探す手助けが出来るのではないだろうか。
 そのための一つの方法は、司書である。司書、特に医学に精通した司書が情報室に居れば、適切な情報をアドバイスすることが出来る。しかし、医学に精通した司書というのはアメリカなどに比べれば少ない。特に、書籍以外の資料のアドバイスも出来る司書というのは数少ないであろう。そのため、MSWや看護師など様々な職種の協力を得ていかねばならない。
 アメリカのニューヨーク公共図書館健康情報センターでは、パンフレット、イベント案内などを一箇所に集めたり、インターネットでの医療情報収集の仕方のセミナーを行うなどの試みがなされていて、このような動きも参考になるだろう(3)
 先に紹介したグリフィン病院の「情報パッケージ」など、アメリカの情報室には情報の検索のための資料もあるので、これも役に立つだろう。
 情報をただ取り揃えるだけでなく、情報のネットワークを作って、適切な情報のある場所に導くということも情報室の役割であろう。

【注】
(1)和田氏・平原氏へのインタビューより
(2)Greenhalgh, Trisha ; Hurwitz, Brian 1998 Narrative Based Medicine : Dialogue and discourse in clinical practice、B M J Books Published、斎藤清二 ; 山本和利 ; 岸本寛史 訳 2001 ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語りと対話、金剛出版
(3)菅谷明子 2003 未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― 岩波書店

4.1.2. 医療情報を発信する場所

 前節では主に医療情報を受ける場所としての医療情報室の役割と課題を見てきたが、今度は逆に情報を発信する場所として情報室が使えないかという考察をする。医療者側からの情報発信、患者側からの情報発信、2つに分けて考える。

i) 医療者側からの情報発信

 医療者側の情報発信として考えられるのは、医療者が直接医療情報を情報室で利用者に与えることである。しかし、前述のように医師が情報室で勤務するのは難しい。看護師が情報室で勤務することは情報提供に役立つが、これは情報を医療者側から発信するというよりは、利用者のニーズに応えて情報提供をするという意味である。医療者側から情報を発信するというので参考になるのが、国立大阪で行われているイベント開催である。国立大阪では医師の講演会等のイベントを行っている。これは、医学情報、予防・健康情報を得るのに役立つであろう。
 情報室自体でイベントを行わなくとも、このようなイベントの情報を集めるということは有効であると考える。このようなイベントは医師が得る機会が多いと思われるので、医師と連携して情報入手に勤めることが必要だろう。
 インフォームド・コンセントの観点からも、市民・患者が情報を得ることは重要であるので、医師にはこのようなイベントへの参加、情報提供を積極的に協力することが望まれる。
 また、イベント以外にも医師は様々な情報を持っている。例えば、製薬会社や学会のパンフレットである。このような情報は情報室独自では入手しづらいものもあるので、医師側から積極的に情報室で置くようにすることが期待される。
 しかし、医師がなかなか情報室に協力してもらえないのが現状である。医師側が情報は医師が独占するものではないという意識と、情報室が医師に対する広報活動を行って必要性を説いていくことが必要だろう。
 医師以外にも、看護師、MSWなど様々な職種が協力して情報室で情報を提供することで、情報の幅が広がり、市民・患者にとっても有意義な情報室となるだろう。また、医療者同士の情報交換としても情報室が利用できれば、チーム医療の向上にもつながることが期待される。

ii) 市民・患者からの情報発信

 今度は逆に、患者や市民の方から情報発信ができないかという視点で考えてみる。特に、経験的情報については患者側からの発信が不可欠である。
 情報の発信源として考えられるのは、患者会である。特定の病気に対する医学情報、経験的情報は患者会が最も詳しい場合も多い。しかし、患者会の情報は患者が自ら患者会へアクセスしないと利用できない場合が多い。患者会へのアクセスは近年はインターネットで簡単に取れるものも多く、患者会のリストの書籍などもあるため、比較的容易にはなってきている。だが、患者会がいくつかあったり、どの病気の患者会なのか分かりづらい場合などもある。そのような場合のアドバイスを与える場所として情報室が役に立つ。情報室側から情報を集めるだけでなく、患者会が自主的に情報を提供していくことで、より利用者のニーズに合った情報を得ることができるだろう。
 患者会の場合はグループとしてので情報発信が可能なので、情報室は補助的な役割に過ぎない。患者個人の場合の情報発信に情報室の役割は大きいと考える。その試みの一つとして、国立大阪の患者体験談ファイルが挙げられる。しかし、前に書いたように書いたものを集めることはなかなか数が集まらない。そのため、直接「語り部」として情報室でボランティアなどとして参加するという方法を筆者は考えている。病気で情報室までは行けないが、「語り部」になりたい患者には、登録をして病室まで利用者側が出向くという方法もある。このように書くだけでなく、直接語る場を情報室が提供することも可能ではないだろうか。
 情報を「発信」するというよりは、情報「交換」の場としても、患者会のイベントを行ったり、掲示板でメッセージをやりとりする、という方法も考えられる。

4.1.3. 憩いの場

 三つ目の役割は憩いの場、あるいは癒しの場としての役割である。
 情報の観点から言えば、経験的情報を交換する場として憩いを提供することが考えられる。前述のように患者からの情報発信として憩いを利用するということである。
 もう一つは癒しの場としての空間作りである。今回見学した情報室にはインテリア・内装にも工夫を凝らした場所が多かった。国立大阪は木を中心とした内装や間接照明、絵画などで「ほっとする空間」作りを目指している。静岡がんセンター、東京女子医大でも木を中心とした内装になっていた。このような利用者が落ち着ける空間にすることで憩いの場・癒しの場としても利用できる。しかし、「空間」だけを作るのではなく、雰囲気も憩い・癒しの場になるようにスタッフや病院の努力が必要であろう。

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