優しき挑戦者(阪大・ゲスト篇)

第4回薬害根絶フォーラム 「知ってほしい薬害発生のメカニズム」(第2部)2002.11.16

(記録:ボランティア人間科学講座3年生・中村寿美子さん)

―来賓の方のご紹介―

村田:  第二部に入りたいと思います。第二部を始める前に、本日のご来賓の方々を紹介したいと思います。本来ならばご挨拶いただければ非常にありがたいんですが、ありがたいっていうより、お願いすべきなんですが、時間がないものですからご紹介だけでご勘弁いただきたいと思います。

 まず、民主党の参議院議員の山本孝史先生にお見え頂いております。さらに、衆議院議員の家西悟先生の秘書の方がお見え頂いております。続きまして、NPO医療ビジランスセンターの浜六郎さんにもお見え頂いております。厚生省の医薬品被害副作用対策室から室長補佐の長堀さん、・・・(聞き取り不能)・・・が参画いただいております。薬害ヤコブ病原告団の中島弁護士にもお見え頂いております。以上のご来賓の方々の紹介をしておきます。

 では、第二部に移りたいと思います。司会の中西さん、よろしくおねがいします。

―第二部:討論「なぜ薬害が多発するのか?」―

中西:  それでは、ただいまから第二部の方を開催したいと思います。よろしくお願いします。

 第一部では、ほんとに被害の実態、家族の思い、そういうものを中心に、また、一部大阪HIV原告の小林さんとか、あるいは谷さん、あるいはMMRの方の被害の実態の中にも若干触れられているわけですが、「どうしてこう日本という国には次々と薬害が起こっていくんだろう?」まあそういう発生のメカニズムを少しみんなで考えられたらどうかな、そして整備して、そしてそれを止めるにはどうしたらいいんだろうということを含めて、この二部でそれぞれのパネラーからご意見を伺いながら進めてまいります。

 更には今日ご参加頂いてます限られた時間ですが、みなさんにも討論に参加していただきながら、十分には参加していただけないかもしれませんが、最後まで薬害の根絶に向けて、21世紀にもう薬害は要らないということで頑張っていきたいと思います。最後までよろしくお願いします。司会の京都スモン基金の中西です。

 それでは、今第一部では7つの被害の実態をやったわけですが、一番初めにですね、パネラーの方には自己紹介を兼ねながらですね、これから順番に報告していただきたいなと思っています。

―東洋大学社会福祉学科教授・片平冽彦先生のお話―

中西:  まず始めに、被害者の実態報告がなかったいくつかの薬害が日本にはずっと起こってきてます。そういう歴史を遡って、東洋大学の片平先生の方から、学者の立場で、本当に日本では数少ない学者の先生なんですが、報告をしていただきたいと思います。みなさんの資料の中に、片平先生の資料の方がございますので、できましたらその資料を出して頂いて、それを見ながら薬害の起こる発生の歴史みたいなものをですね、報告していただきたいなと思っています。それでは片平先生、よろしくお願いします。

―学者として〜薬害が繰り返されることへの無念な思い―

片平:  ご紹介いただきました東洋大学片平冽彦です。私の資料というのは、数字をふってないんですけども、日本社会薬学会で報告した、「医薬品と薬害に関する大学生の知識と意識(第4報)」というのが一番表にありまして、それで7枚ほどですけども、後ろ3枚が年表になっております。

 これを前の方の薬害教育の関係のところは後で話すことにしまして、後ろの方の3枚の年表のところをご覧頂きながらお話したいと思います。

 始めにこの今の被害者のお話を伺って、改めて、被害の・・・(聞き取り不能)・・・胸がつぶれる思いでした。私が大学院にいたときから、スモン・・・(聞き取り不能)・・・薬害の被害の実態を調査し、この原因とですね、社会的要因も明らかにして、薬害根絶のためにどうしたらいいかということについて研究をし、色々と提案をしてきました。薬害が繰り返されていること、残念に悔しく思います。

―終わらない「日本において社会問題化した副作用・薬害問題」年表―

片平:  この年表なんですけれども、ホッチキスで止めている部分でちょっと読めないと思いますけど、「日本において社会問題化した副作用・薬害問題」と書いてあります。副作用・薬害問題と書きましたのは、どれで副作用でどれが薬害かっていうことについては、個々にしっかり研究してみないと確定的なことが言えないので、副作用の問題も含めておりますので、副作用・薬害問題という形にしております。

 1956年のペニシリンショックから始まって、一番最後が西ナイル熱。これはまだ日本に入ってきておりませんけれども、正確にはウエストナイル熱ですけれども、あの血液製剤、臓器移植での感染が報告されております。これが日本で発生しないように、特に厚生労働省に全力をあげていただきたいと思っております。これについて厳重に監視をしていかなきゃいけないと思っておりますが。残念ながら、この後も続いておりましてこの年表が終わることがありません。ほんとに、絶えず続いて残念に思うんですね。

―年表から見える社会問題:薬害―

片平:  それで、この年表をですね、整理をしてみますと、特徴的なところがあります。それは1950年頃からのペニシリンショックを見ても、いずれとして次々に再発して裁判に訴えるなどの社会問題化した。

 それから、最初はサリドマイドとかアンプル風邪薬のように、主に薬局で購入した大衆薬からも起きていたわけですけれども、他はほとんどが医師が処方した医療用薬によって起きてるということで、医療用薬のことを英語で言うと、Ethical Drugという訳ですけども、倫理的に扱わないと下手をすると人を殺すもの、それが薬っていう訳なんですよね。そういう医療用薬によって起こるという事実があります。

 それから1960年ごろからの医療機関での医薬品の・・・(聞き取り不能)・・・の中で、スモン、コラルジル、クロロキンによる薬害が発生したということ。それから1980年代以降なんですけども、従来の医療薬に加えて診断用の医薬品、医薬品の添加剤、それから血液製剤という特殊な医薬品と分類されるもの、それからソリブジンに見られる医薬品の相互作用、ヤコブに見られる医療用具。そういうものによる薬害も顕在化して、非常に多様化し深刻化しているということが言えると思います。

 この次の問題、新しい世紀になっての特徴はこういうものだっていうことは書きたくないですよね。そういう風に私たちは努力をしなければならないと思います。

―産官学医の協力体制で引き起こされる薬害―

片平:  こうして、年々と起こされている薬害、サリドマイドとかまさに、先ほどのMMRは私はまだ不勉強ですけれども、・・・(聞き取り不能)・・・ではないかと私、思うんですけども。

 そのなぜこれが起こされているのかということをですね言っていくんですけれど、実は今日資料としてですね、今ゲラになってる原稿をみなさんにお渡ししようと思ったんですけども、出版社に聞いてみたらちょっとそれは難しいということだったものですから、それは資料としてお配り出来ないんですけども、来年になったら印刷されると思います。ニクスということろから製薬企業のMRの教育の倫理のテキストに書いていくことになりましたが、「薬害・副作用の経済と医療倫理」というタイトルで僕の原稿があります。その内容からちょっとご紹介したいんですけども。

 薬害被害の賠償実態のことですね。薬害被害の経済的な分析なども含めて被害者救済制度の問題も解明して今の独立行政法人問題のことも入れてありますけども。この被害が起こる要因ということで、先人の高野先生とか、・・・(聞き取り不能)・・・先生とかが解明されたことをご紹介しまして、それで、私の研究ですけれども、くだらない細かいことを飛ばさざるを得ないんですが、要するに薬害が起こされているというのは、一言で言えば、産官学医が薬害を起こすのに協力をして来たということですね。主観的にはもちろん協力するつもりはなかったとみんな言うと思うんですね。だけど結果的にはあるいは客観的には協力をしてきた。だから起こされたんですよね。

―薬害を起こす推進促進助長要因とは何か―

片平:  で、どういうふうに分析したかというと、これを協力ではなくて、起こすのに協力ではなくて、防ぐのに協力しなければならない。そのために私たちはどのように取り掛かっていったらいいだろうか。こういう問題になるんです。

 それを更に詳しく言いますと、薬害を起こす推進促進助長要因というのがある。それは、製薬企業が安全性を無視して利潤追求を持って情報を隠したり歪めたりして、それで行政と癒着しているということですね。それから国がそういう企業に追随して安全性軽視の医療や行政を行っている。情報開示においても非常に問題があると。それから医療従事者、とりわけ医師の間に、薬物療法への安易な姿勢が見られる。倫理性、科学性の欠如があったということを残念ながら言わざるを得ない。それから医学・薬学会と製薬企業との癒着。こういった問題が多々あるということですね。それからもう一つ、薬害多発を許してしまった要因があります。それは、今まで医学・薬学の分野における薬害問題の科学的な研究や教育が立ち遅れていること。それから、医療従事者、とりわけ医師・薬剤師が薬害問題に取り組むことに気後れがあったということ。それから、国民への薬害問題の啓発とか、薬害保険教育の立ち遅れがあったと。これは後で説明しますが。それから、国民の薬害根絶運動の立ち遅れがあった。

―命を守らない企業の安全性軽視・無視と利潤追求―

片平:  最初の製薬企業の安全性軽視・無視、利潤追求と言う問題ですけれども、事例を挙げればいくらでもあるわけですよね。サリドマイドとか先程お話ありました。それからスモンでも、常にキノホルムによって神経障害が起きるというのは、1935年の時点でアルゼンチンで報告されていて、チバシャはそのことをちゃんと報告を受けていたのにそれを軽視、無視ということ。それから薬害エイズでも、ご承知のあのカッターシャーの情報の扱い方による十字の情報の扱いとか、いろんなことに・・・(聞き取り不能)・・・されたんです。それからソリブジンでは日本商事が社会のMRの教育用テキストにこういうことを書いてたんですね。ユースーピル錠ソリブジンとFU系抗癌剤との併用は最悪の場合、死に至る恐れがありますよ、ということをちゃんと書いていた。

 ところがそれを社内資料という扱いをしてですね、医療機関向けの添付文書には抗癌剤との併用を避けることという控えめな表現をして送り出した。その結果としてですね。しかもこの死亡者の続発が厚生省によって公表される直前にいわゆるインサイダー取引をやった、ということで告発をされているわけですね。

 ヤコブについても先ほどお話にあった通り、ビデオにもありましたけど、お話になかったこととしてひとつ付け加えさせていただくならば、1987年にアメリカで最初の患者さんが出て、ライオデュラを輸入禁止にしたということは良く知られていることです。

―他国と比較して分かる。安全性の軽視・無視が通る国の不幸―

片平:  知られてない話ですけれど、オーストラリアでそれと同じ時期にオーストラリア神経学会がその危険性をアメリカの一羅一流発生の報告を会議に伝えた。オーストラリア政府はライセンスを、いわゆるライオデュラの輸入ライセンスをですね、取り消したという事実が今年8月イギリスに行きまして、イギリスで福祉大学で研究した結果としてそういう事実があったということが明らかになったと。

 こういうことですね。企業の安全性の軽視・無視に対して国がですね、きちんとした企業の規制を行っていないということ。

 これも例えばクロロキンですね、特に製薬課長自信が自分で飲んでいて、それで自分は止めて、国民全体の危険を擁しなかったというこういう問題とか。それから薬害エイズの問題ですね。それからソリブジンもそうですね。それからヤコブもですね。そういうようなことで、多々ありますね。そういう安全性の軽視無視ということを今後絶対起こさない、起こさせないために私たちは運動の力をもっともっと強めていかなくてはいけないという風に思います。

―反省の上にたって行う薬害根絶への闘い―

片平:  医師の問題については時間がないんで、省略させていただきますけれども。

 私の手元に南光堂から出ている「ドクターズ・ルール425」という医師の心得集という本がありますけれど、この本には投薬する薬の数は最小限にせよ、可能ならば全ての薬を中止せよ、それが不可能ならば出来るだけ多くの薬を中止せよ、患者があなたの知らない薬を飲んでいるときにはまずそれらの薬についての効用書きを読むこと、添付文書ですね、そして出来るだけ多くの薬を中止すること。こういうようなことが書かれています。

 その他いろんなことが書かれてましてですね、先週医科歯科大学の講義でこの内容を紹介したんですけども、医師についても薬剤師についても多々反省すべきことがたくさんあると思います。反省の上にたって、今後の薬害根絶のためにみんな心を合わせて頑張っていかなくてはいけないという風に思います。一応、これで私の話を終わりにしたいと思います。

中西:  ありがとうございました。本当にこの年表を見て、びっくりされた方もいらっしゃるんではないかなと思います。ほんとにこれだけたくさんの薬害が歴史の中で起こってるし、ひょっとすると谷さんの報告ではありませんが、このままだとまた起こるのかもしれないという状況があります。

―大阪HIV薬害訴訟原告代表・花井十伍さんのお話―

中西:  そうした状況の中で、私たち過去にいくつかの闘いを踏んできたわけですが、その踏んできた闘いの代表であった、先頭に立った人たちから、順番に発言をしていただきたいなという風に思っています。それでは私の隣に座っておられます花井さんの方からひとつ、薬害HIV事件の発生状況なんか、あるいは今、薬被連の代表でもありますので、代表を通じて若干活動も報告も含めて、さらに今日厚生省の方からも来ておられるようですが、厚生労働省と過去に何回か交渉をしております。その報告も兼ねて、色々、盛りだくさんなんですが、時間制限がありますので、まとめてよろしくお願いします。

―薬害の起こるメカニズム・段階―

花井:  えっと、薬害がなぜ起こり、またどうしたら防げるのかということを私どもはずっと考えつづけているわけです。そのためにはやっぱり私たち被害当事者がその経験を今後に生かすっていうこと。経験を生かすためには、薬害の起こったメカニズムを徹底的に解析して、それを抗議する必要があるということ。未だその作業は途上にあるわけですが。

 基本的に薬品、薬害というのはいくつかの段階があります。つまり医薬品を製造する段階があって、その後にそれを承認する段階があります。そこが市場に出て、処方箋を書いて患者さんへ、もしくは市販であれば薬局が購入して患者へ。更に承認した以降には、承認後に色んな安全監視、もちろんその医薬品が承認したときのスペック、要するに使用でちゃんと供給されているかということもそうでありますし、エイズのように血液製剤であるならば、もともとそもそもが原材料で考えたら、潜在的リスクは常にあるというものでありますから、そういうのにはそういうものに沿った監視、ビジランスというかそういうものが必要であろうかということです。

 これが全部うまく働くと、もしかどこかでリスクの高い薬害が起こすような医薬品が止められますと、患者の手に届かないので、この薬害が起こらないのですが、どうもこれがうまくないというところだと思います。

―薬品を製造する段階で薬害は何故防げないのか―

花井:  例えばエイズの場合でありますと、今の話からいきますと、これを製造の部分でね、製造の部分はこれは残念ながらメーカーはやはり基本的にはお金儲けですので、それについて、もちろん安全性は考えてはいますが、むしろ訴えられて多額の賠償金を払うことになって、株主に不利益をもたらすことは彼らは嫌でしょうけども、利益の方が賠償金よりはるかに多ければ、これは実は良しとしかねないようなそういう動機付けによってメーカーが動いてまして、エイズのときは血液製剤というものがいわゆる大きなプールで、血液の商品として扱っていったというと、大量に60万とか20万とかそういう人の人数の血液を集めて加工するときにこれは何かの安全対策が必要だということは1970年代から言う人は言っていたわけですが、やはりその大量生産とか、それから濃縮することによる有効性だけが前面に出て、それが認可され市場に出ちゃったわけですね。承認の段階でももちろん承認を受けて、その後の安全対策もやはり先ほど、前半紹介があったようなかたちでまずなかったと。

―最後の砦〜処方の段階で薬害は防げないのか?―

花井:  最後の処方。これ、最後の砦なんですが、薬というのはパソコンと違いまして、特に処方薬の場合は。パソコンだと50万もするのに、セレドフの200億ロックでは誰も買わないわけで、これはもうユーザー主権が明らかで、安くて良いのを買っちゃうっていう、割とみなさん気を使うのですが、医薬品の評価っていうのはやっぱり専門家が最終的にはこの病気にはこれが良いですよといわれればですね、素人から見れば薬なんてもうカプセルか錠剤か善し悪しなんていうのは判断しにくいっていう状況がやはりお互い普通の工業製品とは違うことろで、専門家がしっかりしていれば、ある程度防げる。

 エイズの例をとってみますと、さすがに血友病の専門医達は、この血液性製剤というものについてある程度の知識はあった。しかし、HIVに関連した感染上の知識や、ウイルス感染症の知識というのは必ずしもなかった。それから、血友病以外の肝臓病の患者さんとかにも血液製剤を使われたわけですが、今も問題もなっているフィリビノーメなんかで言えば産婦人科の医師たちですが、これはもう血液の持つ潜在的リスクというものを全く素人的なお医者さんたちが処方していったと。いわゆる処方のアドバイスをしていったのが、むしろMRとか当時はプロパーと言われた製薬企業の、まあ、要するに「先生、こんな療法出てますよ。この薬がね、こうなって、こういう効果あるんですよ」って言って論文を見せに来たら、それに基づいて、じゃ、使ってみようかなとそういう安易な気持ちで使っていくわけです。

 血液の専門家であれば、ワンドナー・ワンレシピエント、つまり400mlの献血と200mlの献血があれば、200が余って400が使われる。これ、輸血医療の中では常識です。なぜかというと、2人のドナーから血液をもらうより、1人のドナーから血液をもらった方がリスクが半分です。半分っていうと言い方悪いけど、要するに1人分のリスクしかないからね。これを20万人を混ぜるとかですね、ほとんど正気の沙汰ではない設計理念なんですが、そういったことの知識もないようなかたちで使われていったということで、それぞれの段階になんとかよくしようと言うので私たちは活動をしているわけです。時間がないので、さっといきますけども。

―「薬害根絶誓いの日」薬害根絶デー8.24―

花井:  私たち薬被連は毎年、薬害根絶デー8.24ですが、これは薬害根絶誓いの日と私どもが呼んでいるんですが。厚生労働省は単なる誓いの日と呼ぶんですけど、何の誓いの日か分からないというのがポイントなんですが。(笑い)

 私たちがこれを呼ぶときには「薬害根絶誓いの日」と呼びますけども、これが建立された8.24にですね、8月24日に薬害根絶デーとして薬害根絶を誓っていこうと、こういう企画になっているわけです。

 このときに厚生労働省と文部科学賞と交渉というか討議をしてですね、この時に要望書を提出します。で、今年は、政務官、タガワ政務官が来られまして、そこで要望書を渡すことが出来ました。要望書の内容はみなさんのお手元のBにあります。割と細かいことが書かれてます。要望書の1と2に関連しましてはあとから時間をとるのでここではあえて紹介しません。

 MMRワクチンのところでですね、医薬局はもちろんこれは係争中でしかも一部被告はこの場をお借りしているという阪大微研ということなんですけども。当然自分たちの責任は一切認めてないわけなんですが。

 実はその厚生省は縦割りでしてですね、安全局の医薬局の他には、健康局という、割と医療のことをやるところがあるんですが、そこの部署では予防接種の救済を行っているんですけど、その担当者は明らかに副作用の発生率が異常であるということを簡単に認めちゃったりしているところが結構・・・(聞き取り不能)・・・まぁ、一般的に考えてこんなの当たり前だろうというところがなかなかこれが、行政組織の中で各部署に生かされないということろがやはり、行政の厳しい問題点であるということが分かる事例だったんではないかと。それから4の教育に関連しましては、教育は教育で別に取り上げますので、ここでは特に取り上げません。そういうような行政への働きかけ、それから医療をよくしようとする、それから教育をやろうというそういうことを全体としてやっていかなければ薬害はなくならないなという気が絶えずします。薬事法の話をしようと思ったら時間が来たんで、それはまた後ほど。

中西:  ありがとうございます。安全性については、賠償額の範囲内でリスクとして日本は考えてるんだということを聞きますと、非常に恐ろしいなという感じはしたんですが。

 今年の薬害根絶デーにはMMRのビデオに出てくれたハマちゃんがですね、一緒に参加してくれて、毎年8月24日根絶デーを私たちはやっております。その時に、「是非、厚生労働省も一緒に薬害根絶誓いましょうよ」という働きかけをしたわけですが、厚生省の方のご返事はですね、「毎日が薬害根絶の思いでやっております」と。「ではなぜ、薬害が起こるんでしょう?」と私たちはほんとに疑問に思ったわけなんですが。

―陣痛促進剤による被害を考える会・勝村久司さんのお話―

中西:  続きましてですね、陣痛剤の被害の報告を第一部の方でもして頂きましたが、10年っていう闘いの中でですね、やっとちょっと成果が見えたっていう話もその中には出てきたわけですが。次はですね、陣痛促進剤の先頭に立ってですね、被害の発生状況とかそういうのを含めて、代表の勝村さんの方から報告をしていただきたいなとうふうに思います。さらに、文部科学省もですね、実は勝村さんは高校の先生をされていまして、教育の立場も含めてですね、文部科学省と毎年交渉をしておりまして、その内容も含めてまた若干触れながら報告していただきたいなと思います。よろしくお願いします。

―薬害被害者団体連絡協議会:目的と活動内容―

勝村:  失礼します。陣痛促進剤による被害を考える会の勝村です。この被害の会の概要は一部でお話いただいた根元さんがずっとこの会の代表を務めていただいております。お手元に、アルファベットのAと書いた資料があるかと思います。これが薬被連で、薬害被害者団体連絡協議会の事務局長をして頂いております京都スモン基金の矢倉さんの書いた文章なんですが、そこに薬被連がどんな活動を根絶をするためにしてきてるのかということが非常にコンパクトにまとめていただいております。

 その中で、2ページ目になるんですけども、薬被連の目的と活動内容というのがありますが、その中にですね、厚生労働省交渉をするのは加盟している全ての団体がそれぞれ独自に薬被連を作る前から、当然当時の厚生省、今の厚生労働省とはそれぞれが本当に手弁当で何度も押しかけて、同じ被害を繰り返してほしくないという思いで交渉を続けてきたわけなんですが。

―薬害を風化させない!文部科学省との交渉へ―

勝村:  この薬被連を結成したことをきっかけに、みんなで文部科学省とも交渉しようということを始めているわけです。

 それは一瞬意外な感じがするかもしれない。というのも最初に文部科学省と交渉した後に、私たち薬被連が文部科学省の記者クラブに行って記者会見をしたいと言ったら、薬害被害者団体だったら厚生労働省行って、という風に追いかれされそうになったくらい、一般に薬害とは文部科学省とは何の関係もないのではないかというふうに思われたりしていたわけなんですけども。僕たち被害者団体が集まってみるとほんとに必要なのは薬害を風化させないことであって、本当に正しい情報、正しい意識が普及していくためにはまず情報が公開される、というか情報公開が当たり前の時代にならなきゃいけませんが。それだけではなくってほんとに正しい知識、必要な知識を一般の国民に子ども達に、それから本当に医療の専門家になっていく専門教育の中においても、本当に正しい情報、正しい知識、正しい歴史がきちんと伝えられることが大事なんだということで、文部科学省の交渉にも力を注いでいるわけです。

―「子どもには加害者にも被害者にもなってほしくない」―

勝村:  その2ページの右側に『薬害が消される』という本の出版というのが書いてありますが、薬被連として今のところ唯一作った本なんですけども、このサブタイトルが“教科書に載らない6つの真実”と当時、始め6つだったんですが、2年前の出版ですけれども。教科書に本当はこういうことが載るべきじゃないかと、でもこういうことが載ってないことが横に居られる間宮さんの言葉で言いますと「加害者にも被害者にも子ども達にはなってほしくない。」加害者にも被害者にも子ども達をさせないためにも、ほんとに正しい教育、薬害を繰り返さない教育をきちんとやってほしいということで、交渉をしているわけです。

―交渉してみて分かった文部科学省の不勉強・ダメ対応―

勝村:  それでですね、今花井さんが示されたBという方の資料なんですが、ちょっとあちこち行って恐縮ですが、Bという資料は要望書になってるんですが、その2枚目に文部科学大臣当ての今年の薬害根絶デー、誓いの日の薬害根絶デーの日に毎年文部科学省と厚生労働省と一日で両方交渉に行っているわけですが、今年の要望書がそこに書かれてあります。

 文部科学省と交渉してみたら最初、今年はこれで4回目になるんですけども、行ったときには最初は交渉は一つの国会議員の紹介がなかったら駄目だとか、一つの団体は一年間に一回しか受け付けないとか、一回の交渉は30分だけ、テープで録音してはいけないとか、文書では回答しませんとか、無茶苦茶なことが言われて、それが文部科学省の常識だと、他の団体にも全部そうしてもらってるということで、それを聞いたときにはまだ、まだと言ったら随分失礼かもしれない、厚生省の方が随分ましだなぁというふうに思って。

 こういうところだけど、じゃ文部科学省がきちんと何が大切で、教育の何が大事なのか分かってくれているのかというと、1回目の回答が薬害と薬物乱用、シンナー吸引であるとか覚せい剤とか、そういう問題とを混同した回答に終始していて、まぁ、30分しかありませんから、「それはちょっと薬害と薬物乱用を混同してるんじゃないか?」と言うと、「え、えっ・・・」という感じになってしまって。一年後に「昨年はどうも薬害と薬物乱用を混同した回答をしてしまって、勉強不足でした。申し訳ありませんでした。」と謝罪する。

 そんな状況が文部科学省の官僚が文部科学行政を担っている人たちにたくさん出てきてもらって、あらかじめ要望書出しておいて、頂いた回答がそんな感じっていうのが文部科学省の実態であるんです。その辺りがこの本にかかれてあるんですけども。

―文部科学省は「薬害を正しく伝える教育」へと動き出せ―

勝村:  それで、なぜ文部科学省なんかと言いますと、その教育が大事なんだということの他にですね、国立大学を全部管轄しているわけです。国立大学病院を指導する係りもあるわけです。国立大学の付属病院っていうのも持っているわけです。大学の医学部ということろにそういった教授が居てて、医局というのがあって、そこが薬学とか医学を仕切っているというか、そこから医療全部作っていってるわけなんですね。

 厚生労働省には例えば日本医師会とかそういう風に意外と国民の思ってるとこと違うこと言うことがあるんですけども、薬害とか考えた場合に文部科学省の大学の研究者たち、それは本当に正しい教育、本当に薬害を繰り返さないために必要な研究をほんとにしていたのか。ここに片平先生とか来て頂いてますけれども、一般のその点はどうなのかということで、いろいろ要望してるところです。

 要望の実感は、そもそも彼らは、彼らはというか大学の薬学であれ医学部であれ、彼らは本当に被害の実態をそもそも知っていない。だから、そのことを研究するという必要もまず感じていない。文部科学省の役人たちもそもそも薬害のことも何も分からずに来てしまっっていたと、そういうようなことがあって、私たちが「ここをこうしてくれ、あそこをこうしてくれ」と言いたいことは山ほどあるんですけども、結局そんなこと言ってる場合じゃないと。まず教育の中で被害者の声を直接聞くっていうそういう講義を行ってほしいと、その要望に集中していかなければいけないかなと。とりあえずそういう色んな薬害被害者達の、こういう薬害根絶フォーラムなんかに来て頂きたい。そういうことも一緒に言ってはいます。先ほどの紹介で厚生労働省の方がお見えになってるみたいですけども、文部科学省の役人の方にもやる度に一度聞きに来てくれと言っているんですけど、全く来て頂けていないという状況で、医学教育薬学教育を司っているその国の責任っていうのはどうなっていくのかということが危惧されています。この度、ヤコブの人たちが府と和解をする中で配慮して頂いて、大事だということをほんとに感じておられるのだと思いますけども、やっぱり教育を充実をしてほしいということが和解の譲歩欄にも入っていってます。

 にも関わらず、2年前には小学校4年のある教科書会社が薬害エイズのことを書こうとすると検定がついて差し替えられるとか、そういうことが今も起こり続けていて、随分前にはスモンやサリドマイド事件直後には高校の保健の教科書に載っていたそういう薬害の記述もいつの間にかなくなってしまって、高校生の教科書とか一所懸命読んでもなかなかそういう歴史としてさえも残っていない。そういう状況でこれからの社会を作っていくっていうことは本当にいい社会に繋がっていくのかということを思って、僕たちは活動しているというわけです。とりあえず文部科学省との交渉の報告ということで。

中西:  ありがとうございます。教育の問題ということで、私の所属しているスモンにしてもですね、・・・(聞き取り不能)・・・次に発言をお願いしようと思ってるサリドマイドにしてもですね、小学校の62年度版までは記述があったんです。その後、スモンもサリドマイドも消えてしまってるんですね、その教科書から。それ以降採用されている教科書からスモンという記述は一切なくなっています。

―サリドマイド薬害被害・間宮 清さんのお話―

中西:  そういう意味でもう過去の薬害と言われる私たちスモンとかサリドマイドの問題の中で、第一部での鳩飼さんから報告があったと思うんですが、薬害サリドマイド事件の発生状況からですね、最近新聞にも製造した人が逮捕されるという事件まで起こっている、サリドマイド復活に、再発への危惧という点も含めてですね、その辺の状況を踏まえていしずえ代表の間宮さんの方から報告をお願いしたいと思います。

―アメリカにはなかった〜最初の大きな薬害サリドマイド―

間宮:  こんにちは。私は実はいしずえの代表ではなくて、事務局長やっております。いしずえはサリドマイド福祉センターというところで、サリドマイドの被害に合われた方のケアを中心に行っている団体です。

 サリドマイドの事件の発生状況ということなんですが、一番日本で大きな被害を出した最初の薬害ということで、最近はもうだいぶ忘れられているような感じですけども、これヨーロッパとかですね、日本を中心に被害が出たんですけども、実はこれアメリカでは発売されていませんで。

 これどういうことだったかというと、昭和35年にですね、アメリカにも申請が出されているわけなんですけども、ケネシーさんという女性の担当官の方がですね、安全性の資料がないという理由で、早く追加の資料を出せというふうに求めている間に、レンツ警告が出たということなんですけども、レンツ警告というは昭和36年の11月なんですが、実はそのちょっと前ですね、36年の5月に東京の築地山陰で3人の奇形児の報告がありまして、サリドマイドと思われるんですが、それが厚生省に報告されたっていう噂があるんですけども、確認されておりません。ただ、それが対策にね、こういうことがあって疑いを、誰か担当官が疑いを持っていてくれればですね、もしかしたら対策に結びつけられていたらば、被害の状況は変わっていあたかもしれないとそういうふうに思いますね。

―反応の遅さが被害を生んだ〜レンツ警告を無視した厚生省―

間宮:  で、その後の昭和36年の11月にレンツ警告がありまして、ヨーロッパでは一週間で回収された。ですが、そのニュース、報告っていうのは厚生省にもちろん来てるんですけども、警告のレンツ博士のところに会いにいってるんですけども、わずか15分程度しか会わなくて、そして帰ちゃったと。レンツさんはその後で、会いに来た人が15分しか話しなかったと、だけど私はもう一回会いたいというふうに証言するんですけども、その場所は翌日動物園で会ってるんですね。それはまさに観光しているという状況です。それにも関わらず、帰国したその人、厚生省から来た人はですね、レンツ警告には科学的根拠がないという風にしまして、一蹴してしまったと。その後ですね、企業はまるで在庫一掃するかのようにサリドマイドを胃薬にいれて大々的に宣伝を始めた。そういうことを許してしまうという状況があったわけですね。

 昭和37年の9月にですね、マスコミ報道がありまして、マスコミ報道というのもこれ実際遅れたわけですよね。実際レンツ警告というのが出ていて、ヨーロッパでは回収されているということを実際大々的に報道できなかったっていうのはどういう背景があるのかっていうのは謎なんですけども。

 それで販売停止になりまして、回収したんですけども、これがまた十分に回収されなくてですね、被害が続いたということがあります。もしそのレンツ警告後、ヨーロッパのように回収してれば半数のサリドマイド児が生まれてなかったんじゃないかというふうに言われています。更にですね、日本で売れなくなったものをですね、台湾で売ったということもありまして、日本で売れなくなったものを台湾で売っていたということで、台湾では全然保障されていないということで、台湾の被害者っていうのは非常に悲惨な状況にあったというのがあります。

 日本での認定者数は309人でしたけども、一説によると1000人から1200人が被害を受けたのではないかというふうに当時の販売量からいうと言われています。

―復活した?!サリドマイド―

間宮:  そういう薬がですね、今復活をしてきているということで、そちらの方の話をしたいんですけども、そちらの方はですね、1965年にブラジルでハンセン病に効くということで研究報告がありまして、その間それから現在までですね、日本でも年間10人くらい使われてたんですね。これはハンセン病の熱こぶの治療ということで使われていました。それで、ハンセン病の患者さんっていうのはご存知の通りですね、長い間施設に閉じ込められたような状態で長い間断種、不妊等の不当な扱いを受けていたわけで、そのサリドマイド自体が外に出てこなかったと。子どもも生まれないという状況だったので、ちょっと黙認されたような状態で使われていたという状況があります。

 1998年にFDAでハンセン病治療薬として承認されました。これは当時エイズとかですね、色んな病気に効くということでブラックマーケットで取引されているような状況がありまして、それよりは安全なシステムを構築して、承認することを決断したと。

 2000年に読売新聞、日本のですね、読売新聞の夕刊の一面でサリドマイドが骨髄腫に効果ということで患者会は輸入しているという風に報じられて、その当時はまだ6つの医療機関で使用されていたものが急速に拡大していきました。この最近テレビとか雑誌で、癌に効果などとした記事が出始めて、特に家族向けの雑誌では効果がある。効果ばかりが強調されていまして、問題は効果ばかりが強調されていてどちらかというと使用派というかですね、患者よりの記事が多いというところですね、問題はですね、サリドマイドの取り扱い、医師や患者個人で日本に医師とかですね、患者個人の自由輸入で持ち込まれて、医師個人の裁量で患者に投与されているという状況です。そういうところが問題だなと。

 現在は未承認という薬なんで、国際情報なんかも報告されないでその効果についてのデータが集計される状態にないんですね。ある意味、個人レベルの人体実験が行われていると言って良いと思うんですね。

―何も把握していない厚労省に愕然―

間宮:  いしずえは迷わずに厚労省に話を聞きに行ったんですけども、実態把握どころかですね、約款証明も電子化されていないのでいくら輸入されているか分かりませんと。「麻薬並みの管理が必要なんじゃないか」と、「そういうふうにしてくれ」というふうなことで意見を言ったんですけども、「麻薬じゃないしねー」というような感じで承認されれば規制の対象になるんですけどね、といったような回答に私たちは愕然としました。

―厚労省に求めること〜システムの構築への国の参画を!―

間宮:  そんな状況なもんですから、9月の25日に要望書を提出しまして、ポイントはですね、サリドマイドの使用実態の調査、すでに使用されている現状に鑑みて、管理をはじめとする総合的なシステムが構築されるように積極的に国が参画すること、それから再発防止のために現行法で対処できないような事項があるのであればサリドマイド法などの法規制を行うこと、先天異常のモニタリング等の調査をすること。

 この先天異常のモニタリング調査というのは、実際サリドマイド児が今生まれているかどうかいうのは分からない状況なんですね、そういう調査をちゃんとしないと。もしかしたら、生まれているかもしれないと。またはその四肢に異常がありますよということでどうしますかということになってですね、ほんとはいけないんですけども、中絶させられたりしてる場合もあるかもしれないということで、やはりサリドマイドだけじゃなくてですね、他のも色々ありますからそういった心配もありますんで、モニタリング調査は強化してほしいと。

 それから、後は研究班の立ち上げをしてほしいというような要望をしました。ここで分かったのは13年度の輸入量っていうのは15万6600錠をもって、輸出国がイギリスとかメキシコで、実際承認されていない国なんですね。その後ですね、坂口厚労大臣がまた続投ということで、これも意外だったんですけども、記者団の質問を受けて、「調査させる」というふうに発言しまして、現在使用実態の調査研究班を立ち上げる方向で進んでいるようです。

 先日みなさんも、新聞見たかと思いますけれども、日本で製造販売している業者が摘発されまして、しかし刑事罰にはならないだろうというふうに言われていて、発注していた医者もお咎めなしと、いうふうな状態になりそうです。

 現在患者の多くが家で使っているっていうのもものすごいことなんですけれども、管理という意味では非常にずさんという印象が非常に強くてですね、さらに患者がサリドマイドを必要としなくなったときに、つまりその方がですね、完全に治るということはないので、亡くなったときにですね、サリドマイドを回収・処分しているのかっていうのは非常に未確認ということなんですね。医療現場での被害よりもこういった未解釈の薬が流出して事故が起きるっていうことが心配で、被害が起きても誰も救済されないし、責任も取らない。救済という意味では、将来承認されても医薬品副作用被害救済制度では抗癌剤ということで承認される、まあ、抗癌剤で承認された場合、救済の対象にはならない。これっていうのは、抗癌剤っていうのは副作用が強いからそんなことはいちいち面倒見てられないよということなんですね。

―未承認薬ではないサリドマイド〜姿を消したはずの危険な薬―

間宮:  そもそもそのサリドマイドは未承認薬として他の薬剤と一緒の括りにするのは私たちは納得できない。サリドマイドはその昔ですね、承認されていて重篤な危険のある薬としてその形を、姿をですね、消した薬であって未承認薬ではないと言いたいわけですよね。

 国も使用する人も、サリドマイド被害者を出さなかったアメリカが、これまで販売された医薬品の中で最も厳しい制限が付けられているっていうことの意味をもう一度考えてほしいと思いますね。現在アメリカでは、多発性骨髄腫への治験が第三段階に入っていて、好結果を出しているらしいと。EUでは2002年4月26日にアメリカのセルジン社がハンセン病に加えて多発性骨髄腫の治療薬として、承認申請してこれが受理されていまして、オーバー指定ということで指定されていますから、優先的に審査をされますので、承認されるのは時間の問題じゃないかと。

 日本で承認されるかどうかは不明ですけれども、承認されれば安心というわけではないと。我々の被害はですね、承認された薬で引き起こされたわけですから、私たちがやっぱり言いたいことはですね、承認されようがされまいが、日本にサリドマイドが大量に輸入されて使用されているのだから、再発防止システムを作るのは当然のことだというふうに考えてますんで、これは国が主体になって一所懸命やって頂きたいというふうに思っています。

 このサリドマイドに関するシンポジウムっていうのを私たち計画していまして、それは来年の2月の、日にちだけ決まってるんですけど、2月の16日にシンポジウムを開きたいと思ってますんで、興味のある方は是非。たぶん東京でやると思いますんで、是非お越しください、ということです。

中西:  はい。ありがとうございました。先ほど未承認の薬品を製造したら逮捕されるのかなと思ったら、逮捕されないんですね。私はてっきりそういう悪いことしたら、逮捕されるのかなと思ったらそうではないということで今聞いてびっくりしてるんですが。

間宮:  なんかね、特定のお医者さんにだけ売ってたからね、別にいいとか言って。

―MMR被害児を救援する会・栗原 敦さんのお話―

中西:  ありがとうございました。時間も迫ってきてるんですが、第一部でもMMRのことについて実態報告がありましたし、裁判の報告もあったわけなんでが、するに私たち医薬医というのはもう自分の命、国民の命、そうしたものを守るっていう立場であるべきであり、しかもそれを守ろうと一所懸命に国民が努力したと、その結果被害に合ったというようなMMRの実態をですね、それについて栗原さんの方からよろしくお願いします。

―予防接種被害の問題はちょっと違う!?―

栗原:  こんにちは。京都府の宇治市から来ました栗原と申します。MMR被害児を救援する会の一会員なんですが、その動機はですね、現在私の23歳の長男ですが、19年前ですね、さっきのMMRの被告ですね、それから私の23歳の長男が4歳半のときにおたふくがぜワクチンで被害を受けて。現在医薬品機構から幸いにも不十分ながらですが救済を受けている立場なんですが、その会場のすぐ近くに財団法人阪大医研、医研会と言ったらいいのかな、があるんですね。帰りにちょっとまた寄って行こうかなと思ってますが。

 どうも、私がこの20年近くになるわけですが、20年とはいきませんね、19年前ですね、予防接種の被害の問題を考えてる間に、例えばエイズ薬害の被害者達が大奮闘してですね、あそこまでなっていく。それからヤコブのね、谷さんを始め、被害者の方々が悲惨な闘いをして今年の3月の15日に和解にもっていく。という、こう動きを見る中で、どうも予防接種の被害に関して、ちょっと違うなという意識をいつも持ってたんですね。そのあたりからちょっと話入りたいと思います。

 私の資料はF、右上の方にFと書いてあります。話の根幹もそこに3項目ほど挙げてありますが、予防接種による被害というのは1970年代にですね、予防接種禍集団訴訟というかたちで東京、名古屋、大阪、福岡4地裁で提起されまして、それから社会的に表に出てくるということで。そしてその東京での集団訴訟がですね、高裁の方がですね、92年平成4年の12月の確か後半だったと思いますが勝訴しまして、当時には厚生大臣がその高裁判決を受けて控訴断念と、及び謝罪と会見をするということによってですね、その流れが一気に他の3つの地裁でも広がって、4大訴訟いずれも原告勝訴あるいは和解という形で、国の責任が明らかになったと。一部最高裁まで行った事例があるんですが、そういうふうな形で終了しています。

 法廷で問題になったのはですね、主に接種の体制の問題だと。予防接種を打ってはならない、当時禁忌者という言葉があったようですが、接種に注意を有する子ども達、予診の段階でね、丁寧に診察をして注意性がある子どもを見極めるというそういう手続きにおいて非常にずさんであったという点と、国が長い間予防接種で事故が起こり得るんだということを、国民に知らせずに来たという、情報の問題ですね、その二つの点で、国側の責任を認めていったというそういう過程がありました。そういう辺りからですね、先ほど申しました、いわゆる薬害と違うのはここかなあということについてです。

―予防接種強制:健康な子ども達への被害と親の苦しみ―

栗原:  まずですね、今現在、全く健康な子ども達を感染症、ちょっと前は伝染病と言いましたね、移る病気から子どもを守るという意味で、健康な子どもに接種をして不幸にも被害が起こるという点が一つ。これはだからある症状を持ってる患者さんのその症状を和らげるとか治すとかいうのとは違うという点ですね。それと、接種を受けるのも、そして・・・(聞き取り不能)・・・被害で命を落とすとかあるいは生涯を台無しにされてしまうというのは判断能力もない子ども達ですよね。その接種を決断するのは親です。ですから被害が起こって子どもが亡くなったとか、あるいは生涯を負ってしまったとかいうときに、本人の苦しみに加えてその親、特に現実に母親の方でしょうね、親がこれを受けさせなけばよかったという、受けさせたからこうなったという自責の念が生涯引きずられていってしまうというふうな辺り。

 そうしてこういう予防接種というのは、予防接種法という法律があって、古くは罰則をもって行政が、平成6年度改正以後は強く進めると、国民は予防接種をね、子ども達に受けさせなければならない、受け受けさせるよう努めなさいというものに変わりましたけれども、これも事実上強制に近いものと思っておりますが。法をバックにして、国がこの薬はいいよと、やりなさいと、やらねばならないと言ったときに事故が起こった場合、これは一般の治療薬とちょっと意味合いが違ってくるんじゃないかなという辺りを感じてるわけですが。そういった特質がありますから、予防接種というのは決して健康な子どもを死なせたりしてはならないし、障害を負わせてはならないと。そういうものですよね。

 万が一、最善を尽くしたけれども事故が起こってしまったというときには、非常に手厚い救済を持ってですね、対処してもらわねばないという問題も当然出てきますし、あるいはワクチンというのはある病気に非常によく効くという定評があるワクチンであってもですね、その病気が、流行がずっと抑えられて、病気がなくなっているなかでは、あまり意味がないわけですよね。

 むしろそれを使ったことで副作用が今度注目されるということですから、そのワクチンの評価をする絶対的なものさしがないのではないか。非常に相対的である。流行状況との関係で決まってくるというふうな特徴がありますので、その日本の国内、あるいは日本の周辺のですね、感染症の状況を日本の厚生労働省が的確に見定めていって、必要はないなという状況が出てきた場合には、迅速にその方針を変えていかないことには大変なことになるというふうな問題を持ってるじゃないかなということをちょっと上手な整理にはなっていないと思うんですが、3点ほど挙げさせていただきます。

―数字から知る予防接種被害の実態―

栗原:  それじゃお手元の資料にですね、裏表刷ってて申し訳ないんですが、棒グラフとか表とか円グラフがありますが。そこらを頼りにしてちょっと数的に被害実態どうなのかなという把握をしておきたいと思います。このたくさんの数字が書いてる表を見ていただけますか。

 これはちょっと古いんですが、平成10年末に厚生省が発表した、厚生省が削りに削ってというか被害救済、救済申請をされた方の中からかなりやはり絞ると思いますね。出来るだけ厳しく絞って、そして医療費医療手当てあるいは障害児養育年金1級2級とかですね、障害年金1,2,3級を普及した、あるは死亡一時金葬祭料といのがありあすが、そういったデータなんですね。左半分に旧制度分というのがありまして、右半分が新制度分ということになっていますが、ちょうど11年度かなり大きな、救済制度を被害者の方々の運動によってですね、盛り込まざるを得なくなったというそういう大改正のときに昭和51年ですが、実施が52年度。それ以後のその右半分の表、新制度分っていうのはそういう意味です。

 これで見るとですね、この方右下、一番右下の角、合計3,915っていうのがあります。新制度分で見て2,226。死亡一時金が支給されたのが82.障害児養育年金が42。生涯年金が388。こういった内訳になっておりますが、あとDとか、左端にDとかPとかありますが、Dはジフテリア、Pは百日咳です。Tは破傷風ですね。こんな風に見てください。こういう実態をですねグラフ化してみますと、この棒グラフですね。ですから約4,000人程のかなりの思い被害者、死亡を始めかなり重篤な被害者は約4,000人程小計されています。ただし潜在的にもっと大量の被害者が埋もれているだろうという予測はありますが。

―流行の絡みで使われた?!常識的なものの見方を!―

栗原:  この棒グラフを見ます。左端に痘そうとありますね。天然痘です。それが1,586。それからそれ以外で見るとMMRというのがずば抜けてますね。この2つについては、まず痘そう、天然痘については、日本で最後の患者が確認されてからも相当長年にわたって使用が行われていた。あるいはその間にですね、WHOの天然痘撲滅宣言が出ると。なおも続くという、そういう辺りで、つまり流行状況との絡みで評価されるというね、先ほどの話ですが。必要ないのに使われたんではないか。それで死者があるいは障害者が生み出されているんではないかという典型的な例がこの種痘の問題ですね。

 それとMMRがダントツ。これはまさに4年間でこんだけなんですよね。他のワクチンの数字から見たらすさまじい動きしてるんです。これは先ほど来からのお話あったように、あの決して予防接種法に定められたはしかという病気に対する対策、やらねばならない対策はMMRでなくてよかったわけで、もともとのはしかワクチンに戻すことで混乱を、被害をかなり食い止められたんではないか。

 これは裁判とは関係なしに我々一般国民が考える誰でも頷けることなんですね。そういうおかしいことを厚生省がやってしまった。そしてこういうずば抜けたですね、被害を生み出している。それからインフルエンザというのが187集計されてますが、これもですね、1985年、80年代にですね、群馬県前橋市で死亡事故があって、前橋市の医師会の中の岩見修三さんというもう故人ですが、非常に良識ある臨床の小児科医を中心としてインフルエンザ接種を止めた前橋市とその続行している周辺地域を大規模に子ども達の流行時期の欠席率を追跡して、世界的に稀な大量のデータに基づいた調査をされて、インフルエンザワクチンの有効性は認められないという決定的な調査結果を出した。そして、厚生省の方も慌てて研究班を設置して、調査をした結果やはり認められないという結果になって、昭和60年61年、1985年6年くらいですね、確か事実上任意接種になっているという経過があったわけですが、長年効きもしないワクチンが打たれて重篤な被害を生んだ疑いが非常に強いということの一例です。

 ところがこのインフルエンザについては、昨年ですね、国会で高齢者、65歳以上の高齢者に関して、公費でもって接種をしますよということになりました。そして、それだけではなくて、子どもから大人まで要するに世の中一般全体にインフルエンザワクチンは必要です、重要です、意義ありますという論調が非常に濃厚になってきまして、ところがワクチンが決して改良されたわけでもない、新しい調査結果が出たわけでもない。従来のデータをいろいろこう操作しながら、ワクチン推進をしている疑いが非常に強いという・・・(聞き取り不能)・・・があります。

 それから日本脳炎ワクチン、133ありますが、これも接種対象年齢の子ども達に日本脳炎の患者っていうのはほとんどない状態。しかし、ワクチンを打つことで、被害が増えてるんですよね。そういう事例。種痘の問題にかなり近い問題になってるんじゃないかというふうなワクチンです。

 それと166のポリオ。これも実は一昨年の10月末に京都の国際会議場でWHOの西太平洋地域のポリオ根絶宣言というのが出された。ですからこれも生ワクチンがいらなくなっている時期。・・・(聞き取り不能)・・・に切り替える必要があるよという主張があります。生ワクチン被害が自然感染ポリオを大きく上回っているという種痘に似た状況があります。という被害実態があるということ、それとワクチンの被害者達、私の子ども含めて、中枢神経系がやられますから知的に非常に大きな痛手を受けてる。判断能力を失います。あるいは、身体的な機能上の障害麻痺。重複した格好で障害を負ってしまうと。そういう特徴もあります。そんなところで。すいません、超過しました。ごめんなさい。

中西:  ありがとうございました。

―薬害をなくすためにはどうすればいいのか―

中西:  発生のメカニズムということで、それぞれの立場から発言を願いました。歴史も含めてですね、なんとこう日本という国は同じ様なことを繰り返してるんかなという印象も含めてみてるわけですが。

 それじゃ、こうした薬害をですね、ほんとに21世紀なくすためにはどうしたらいいんだろうという面で、実は非常に時間がですね、それぞれ先頭に立って頑張っておられる方が発言ということで、1回目の時間が長くなり過ぎまして申し訳ないのですが、2回目はですね、手短に。手短に出来ないんですが、手短に出来なんですか、出来ましたら2ないし伸びても3分以内ということで、根絶のためにはどうしたらいいんだろうという点をですね、まず行政のサイドの薬害の歴史など、あるいは過去の例をずっと報告していただいた後に、もうほとんどが構造的に起こっている問題が多い。その行政の、逆に行政としてはですね、どうしたらいいんだろうと。逆に行政の立場も含めて、その辺、花井さんの方からお話願いたいと思います。

―有効性が安全性を上回ったものを―

花井:  時間がありませんので、手短にいきますが。要は薬を一切使わなければ薬害完全になくなるわけです。ところが特にHIV、私たちはこれはアンビバレントもので、薬害が起こった血液製剤を今も使いつつ、かつほとんど毒としか思えないような抗ウイルス剤を毎日飲んでいる。

 今、先ほど、片平先生が一覧表を作ってくれた薬の、あれだけでも数えたら10個くらい飲んだことがあるという。そう考えると薬害にあって当たり前じゃないかというくらい薬を使っている。薬をなくしてしまうというのはこれは出来ない。医療というのは薬に依存してきてるということ以外は、必ずしも意図ではないと考えますが、どうも全く化学物質を使わない医療というのは考えられない。

 とすれば、まず製薬企業が本当に有効性が安全性を上回った商品を提供するだろうかというとこが問題でありまして、これをやはり客観的に分析して、きっちりと有効性が大きく上回ったもの。特殊な薬、例えば抗癌剤、リスクとベネフィットの兼ね合いで医薬品というのは成り立っていて、厚生省のさっきの誓いの日の話ですが、厚生省は薬害という言葉自体公式には認めてなくて、薬害を使っていいのは和解したときの広報的に薬害という言葉を認めているだけに過ぎなくて、橋本総理時代に医薬品は有効性とリスクのバランスの上に成り立つのだから、医薬品の副作用はなくならないのであって、要は使い方が問題だということを公然と述べているわけでございます。

―健康な人にリスクは要らない〜公正で厳しい審査・安全管理体制―

花井:  この意見自体、私たちは・・・(聞き取り不能)・・・できるものではないんですが、有効性というものがこれであって、リスクがどれだけであるかというところを厳しく見極める必要があると。どうみてもリスクが上回るものは排除する。

 先ほど健康な人に使うもの。例えば今はね、低容量ピルというものも売られているわけですね。この有効性というのは、排卵コントロールであるわけですが、これはやはりベネフィットとして考えて医薬品というのは提供されている現状を見ますと、かなりむしろ医薬品は伝法好意になっているわけですね。このこと自体をまず見直す必要があるし、やはり健康な人に使う医薬品はリスクっていうのはほとんどあっちゃいけないんじゃないかと思うんですが、そういったところの見極めというのを厳しくする体制、これに尽きるわけです。時間がないので。まずそこですね。

 承認した後は今度は新たな副作用というものが出た場合に、あるいはその情報を速やかにサーチし、それを公開し、必要とあればそれを市場から回収するということが出来ればよいわけです。しかし、前者においてはやはりメーカーというのはリスクを少なく見せたいという気持ちがあるわけね、当然。データ、これ化学的データですよ。全く嘘だったら完全に詐欺なんですが、数字っていうのは不思議なもんで、見せ方によっていろいろ見えたりするわけです。リスクは少ないように少ないように申請してくる。そのデータを鵜呑みにして、全部認めていればこれは医薬品はメーカーが作った者は全部医薬品として認可できるようなそういう状況だし、今の状況っていうのはそれに近いものがあると。

 それをやっぱり見直して、公正で厳しい審査体制、それで後は安全管理体制っていうのを作ることが肝要であると。その細かい内容については後から言う機会があるかどうか分かりませんがそれに尽きると思います。

中西:  端的にご協力ありがとうございます。続きましてですね、行政責任いうことでまずサリドマイドの方の間宮さんからですね、特にいわゆる大臣が我々被害者に頭を下げ、確認書を調印し和解したという歴史があるわけですが、和解責任の内容なんかも含めて、行政側の責任っていうのは明確にされてると思うんですが、先ほどのビデオにも坂口さん入ってましたね。

間宮:  ええ、ありましたね。

―誠意が見えない、繰り返される和解確認書〜努力の行方は?―

間宮:  お手元の資料でですね、和解確認書より抜粋という資料があるんですけども。サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害ヤコブとですね、和解というかたちで決着を見て、その中で国と製薬会社は非があったということを認めて、それで薬害を起こるためにその国・・・(聞き取り不能)・・・を認めないという、裁判を受けて立とうという行為を繰り返してきたんですけども、こういう和解確認書の中でですね、遺憾の意を表しとかですね、薬害を発生させないように努力することを確約ということを繰り返してやってるわけですね。

 特にサリドマイドの和解の現象の中ではですね、10年に渡るサリドマイドで裁判で争ったことを、その間その救済処置を何ら講じなかったということは過ってるんですよね。これは何かって言うと、そのほんとにサリドマイドの結局訴訟を起こされてそれを受けて立ったということ自体が過っているわけですよね。

 そのことを反省してるのにですね、その後の薬害訴訟においてもその因果について争うことを繰り返してるんですね。つまり、直接の被害に加えて訴訟の長期化でですね、被害者に対して物心両面に2次被害とも言える被害を与えてるんですね。スモン訴訟でも、対応について迅速を欠いたことをはっきり謝っていて、そのときに医薬品副作用被害救済制度っていうのを創設させたんですね。

 で、薬害エイズの訴訟では過去に引き起こした薬害の名前が今度出てきまして、サリドマイド、キノホルムの名前を明記してね。今度は製薬っていうことで反省してるんですね。この中では改めて確約をしたんですね。その時に先ほど来から話に出てきましたけど、厚生省の、今厚生労働省ですけども、その前庭。前庭と言ってもですね、これ結構片隅なんですね。に、薬害根絶の誓いの碑っていうのを建立してその碑面にはサリドマイド、スモン、HIV薬害エイズの3つの文字が刻まれたんですね。その、こんなときにですね、副作用だけでなく不良医薬品から国民の生命・健康を守るべき重大な責務があることっていうのを改めて深く認識したんですけども、こんなの最初っから認識しておいてほしいです。

 それから今年和解した薬害ヤコブ病ではですね、ヒト乾燥硬膜っていうのは包帯とかばんそうこうとかと同じ医療用の用具とされていたために、救済制度からも外されていたということから、被害者は二重三重に苦しみを強いられたわけですよね。そこことを反省してその血液を始めとする生物由来の医薬品による被害救済制度創設っていうのを約束したわけです。さらにわが国で悲惨な薬害が多発していることを重視して、教育の中で過去の意見を取り上げるなどして、安全性に関する関心が高められるように努力すると約束しました。努力するということを確約したとかですね、努力を今度は重ねることを確約したとかですね。

 更に今度エイズではですね、努力を重ねることを改めて確約したと。あ、最大のか。最大の努力を・・・その後は、固く確約したと。言葉の問題だけじゃなくてね、行政責任を確実に果たせるように本気で努力するべきだし、救済と謝罪については受けて立つということをもう考えないで、もうもともと訴訟を起こす時点で、もちろん訴訟起こす前にちゃんと救済をすればね、何もみんな裁判起こさないわけですよね。裁判起こすっていうの費用がいろいろかかりますし、そういうことが起こらないようにやっぱり救済をすることと謝罪をちゃんとするということをしようということを言いたいですね。

中西:  最大の努力を重ねること固く確約するということが書いてあって、また、C型肝炎の訴訟が始まるわけですから。どうしたらいいんでしょうという感じもないではないですが。国の責任という意味でですね、パネラーの方から発言をしていただいたわけですが。

―地方行政の取り組みで求めたいもの―

中西:  予防接種の栗原さん、地方でね、今日も例えば保健所の方とかひょっとしたら参加されていると思うんで、もし地方行政の中で、若干こういうふうに思ってもらったほうがいいっていう、ちょっと発言手短によろしくお願いします。

栗原:  あくまでもMMR被害児を救援する会の立場で申し上げますと、さっきちらっと申し上げましたけども、元に戻せばよかったわけですね。それと、予防接種の実施主体というのは決して国ではなくて、府とか市町村な訳です。実施主体があの時、「MMR。これは大変やな。元に戻そ。」という常識的なね、判断を自治体レベルでやればこれは相当被害を食い止められた可能性もあるんですね。もちろん今までの国と自治体の関係、現実というのがあるんでしょうからそう簡単にはいかないというのは分かりますけれども。

 ただ個別の医療機関で見ますと、実際厚生省の見解を批判して破ってる病院っていうのは近いところで宇治・・・(聞き取り不能)・・・病院っていうのがあった。それから、京都府の舞鶴市はよく分からないんですが、平成4年まで、フェルノール導入しなかったんですね。そういうこともある。京都府八幡市では平成元年の10月に、一例起こってる・・・(聞き取り不能)・・・という子どもが出てしまって、止めてる。そういう事実があるわけなんで、実施主体が主体的に考える努力。もちろんそのためには主体的に考える努力が必要なわけですが是非お願いしたいと思います。

―行政サイドの薬害の取り組みへの意識の低さ―

中西:  ますます時間が追ってきたんですが、行政のサイドの責任の問題。行政サイドが考えられるべきこと、根絶に向けてですね、語って頂いた訳ですが、勝村さんの方には、先ほども発言の中にあったと思うんですが、ヤコブでは教育の問題をね、始めて確認書の中で触れました。やっぱり非常に私たちは、薬被連を結成して、コンストラクションに交渉してきた成果が出てきたなと思って、文部科学省に交渉に行きまして、「ヤコブの確認書では教育の問題をきちっとやりますということをきちっと書いてるんですが、文部科学省の方ではそれをどう受けとめておられますか」と聞きましたら、「いえ、まだ見てません」ということでした。もう驚きました。

 国が確認書を調印したわけで、厚生労働省が確認書を調印したわけではないわけですね。それなのに、同じ省庁の文部科学省ではその確認書を見ていないと言うんです。8月24日現在。そういう部分も含めてね、怒りも込めて、勝村さんの方から、教育、子ども達に加害者にも被害者にもなってほしくないという思いで、どうすればいいのかっていうのをちょっとお願いします。

勝村:  ヤコブの和解案の中に今話がありましたけれども、教育をしっかりさせていくということが3行くらいですかね、しっかり書いてあって、それを受けての今回始めての文部科学・・・(聞き取り不能)・・・だったんですけど、そんな話は文部科学省の方には入ってないということで、教育を重視すると約束していながら文部科学省には何も行ってなかったということがあったわけです。

 教育が如何に大事かっていうのは、例えば僕の妻は陣痛促進剤の被害にあって、子どもを1人亡くし、その後もその時の帝王切開の傷があってもう1人、こども2人亡くすようなことになってるんですけども。陣痛促進剤の被害が何故薬害がといと、実は陣痛促進剤によって母親死亡、脳性麻痺、そういうのが多発しているという情報をですね、昭和49年に全ての産婦人科の医者だけに配布されてるんですね。ところが被害が積み重なって被害者団体が行動してというか交渉して、漸く薬の添付文書に書いてある最大使用量を半分以下にしなきゃいけないという。

―情報を伝える場を国は確保すべきである―

勝村:  最大使用料半分以下にしなきゃいけないってすごい大事件なんですけど、それを決めたのが日本中の産婦人科医に脳性麻痺の子どもや胎児がいっぱいおこってるから気をつけないさいというのを医者だけに撒いた20年後に漸くそういう指導をしている。つまりこそっと危険だということを言っても、公にしようとしないで被害を繰り返しさせてきている。また、そういうことが分かった後でも教育の場というか、情報を普及させていることに対して、隠そう隠そうとしてまたそれ以降も同じ被害が繰り返されているということがしょっちゅうおこっているわけです。

 私の妻も、初産だったですから、母子健康手帳なり母親教室で母親のテキストとかありますのでね、非常にたくさん書き込みをして一所懸命勉強をしている。高校の保健の教科書をもう一回勉強したいからということで、晩にはもう一度保健の教科書やノートだけを取り出して、勉強しなおしたりしている。

 ところが陣痛促進剤のことはほとんどいっさい書かれていない。ところが厚生省の統計で見ると、平日には4000人を超える子どもが生まれているけど、日曜には2000人ちょっとしか生まれていない。時間的にもお昼の2時には夜中の12時の何倍もの子どもが生まれてほとんどの子どもが知らない間に子宮口をやわらかくする薬ですとか、・・・(聞き取り不能)・・・多発してたくさん使われてしまっている。昭和49年の資料にも書いてあるんですけど、陣痛促進剤は感受性の差が200倍もあるというそういう怖い病気だから気をつけなさいと。同じ量を使ってたら必ず一定の割合で被害が起こってくる。だからそんな人たちは、もう所詮体が弱かったんだとかそういう運命にあったのだとか、脳性麻痺なって仕方がないんだとかいうふうな形で、ある種ほんとの事実ではないことで、片付けられてる。

 これは言わば偏見によって片付けられているというわけで、そういうことが起こってきているんだと思うんですね。ほんとに正しい情報が出されない。きちんとした教育が出されない中で、一所懸命被害に遭わないように勉強して、被害に遭わないようにしてくる努力をすることがこれからどんなに・・・(聞き取り不能)・・・まずそこはきっちりやってほしいということはほんとにもう必死でやらなければいけないと思っています。

―アンケートから見えた!薬害教育の欠如の実態―

勝村:  最後に、私たちは大学の医学薬学部の327個に対してですね、先日アンケートを出しました。薬害教育に関してどんな薬害教育をされてますか、と。僕はほんとはもっと聞きたかったんですけども、たくさん質問すると回答すら頂けないだろうということで、非常にシンプルなアンケートをしたわけですが、その結果141校から回答があったということで、約半分以下ではありますが、回答を141の回答がありました。

 それを見てみると、薬害の社会的な問題そういうようなことについて触れているとYESと回答したのは、3分の1くらいということで、3分の2の医学部薬学部を卒業している人は薬害に、こういうのは普通やってると書くはずなんですけど、それでも書けないと、6割がきちんとした薬害教育が出来ていない。そのまま医者になり薬剤師になってしまっている現状があると。

 ある助産婦さんは大学時代の実習が全て陣痛促進剤を使った教育しかやってないので、自然分娩の実習をしないで助産婦になってるっていう人と話をしたことがありますけど、そういう現状、いろんな薬害も全く勉強しないままこうなってきているという状況。ほんとにそういうところからきちんとやっていかないと、これからもますます今の子ども達がほんとに薬害の被害者加害者なっていくっていうことを避けるためのほんとにこれは大事なことだと思っております。

中西:  ありがとうございました。それであの、医療のほんとにこの薬を使う最前線の人たちに対する教育という意味で、専門家の教育をどういうふうにしていけばいいのかという点で、今勝村さんの方からアンケートの概略は聞いたんですが、片平先生の方で、ひとつ専門家の教育の分野についてご報告をよろしくお願いします。

―薬の効果の知識だけ。害を知らない医学部・薬学部生―

片平:  さっき時間の関係で説明しなかったんですけど、資料のさきほど日本社会薬学会の第4報という資料ですね。そこにまとめてありますけれども、この資料が2枚目のところに、表がありますけれど、この下に質問項目が書いてあるんですが、基本的なことに関して質問をして、それに対してどれくらい知識があるかというのを調べたんですね。

 そうしましたら、細かいことは略しますけれども、効果のことについては医学生も薬学生も正解率が高い。ところが害の方になってくると途端に減るんですね、半減する、正解率がね。というのが共通した特徴でした。

 例えば、この第4報では薬学生ですけれど、ヤコブについて正しく答えた人は17%でした。それからサリドマイドキノホルムについて正しく答えた人は12.5%と。そういうようなことで、ここに報告されているようなことなんですよね。

 それで、この3枚目にですね、私が調査した結果を書いていただいてますけれど、全国46の薬科大学のシラバスを調べたんです。そしたら、うちの29大学では何らかのかたちで薬害問題の講義が記載されてるんです。ところがですよ、記載されてるんですよ、記載されてるんですけれど、ところがその多くはですね、4年間に1コマ、4年間ですよ。4年間に1コマ程度を非常勤講師が担当してると。・・・(聞き取り不能)・・・そんな実態が分かったんですね。それでこういうことをやっぱり改善していかなくてはいけないわけで、私はこれまでいろんな医学部薬学部で講義をやってきて、現在でも4ヶ所の医学部と2ヶ所の薬学部で講義をやってますけれども、個人的な努力では限界があるので、それを組織的に取り組まなきゃいけないというふうに考えてまして、そういうことをいろいろ仕掛けていくというか、プッシュしていくということを努力していきたいと思ってますし、それから何といってもこういうことに取り組む研究者教育者をですね、育てる努力をやっていきたいと思いまして、私の本部校の東洋大学では、薬害のゼミというのを作ってですね、40人参加して、みんなで分担して研究して発表するというようなことをやってますけど、そういう努力を色々と重ねていきたいと思います。

―会場からの質疑応答―

中西:  ありがとうございました。パネラーの皆さんの発言をお聞きいただいて、一番最初にもお約束いたしましたように、会場のみなさんにも討論に参加して頂きたいということで、両サイドにマイクを設定しています。もし何か質問なり、何かご意見なりがりましたら、是非参加をしていただきたいなというふうに思います。

 質問される方は、どのパネラーに答えてほしいということも含めて、是非手を挙げていただければ、あるいは手を挙げてマイクの方に行って頂いて発言をして頂きたいと思います。どなたか。はい、どうぞ。出来るだけ手短によろしくお願いします。

―規制緩和による危険性はあるのか/予防接種で私たちにできることは―

質問者:  恐れ入ります。私、陣痛促進剤による被害を考える会の山下です。質問にもなるんで、パネラーの方にお聞きしたいと思うんですけども、現代にも日本の状況の中で、規制緩和というのが色々言われていく中で、薬害の可能性というのが逆に高まってしまうんじゃないかなというのをちょっと感じております。

 その理由をちょっと手短にお話させていただくと、私は娘は2人おるんですが、一番上の娘を陣痛促進剤で亡くしております。下の娘は元気なんですけども、1歳半、1歳を超えて病気をするようになって、その中で川崎病という病気の治療の中で血液製剤の・・・(聞き取り不能)・・・を使ったりとか、あるいは副作用が危惧されるアスピリン、両方ともこの川崎病の治療の中で非常に効果があって、ぜひとも必要だということで使っておるんですけども、一方でそういった危険性の高い薬を使わなきゃいけないという危惧を持ちながら使ってるということが一つと。

 それから、予防接種に関しても、今月か先月にかけて、おたふく風邪とみずぼうそう両方やりまして、これで軽く済むなと思ってるんですけども、ひどいところで予防接種どういうふうにすればいいのかというのを・・・(聞き取り不能)・・・責任という形でさせられているにも関わらず、正しい判断できる情報が呈示されてないという状況の中で、我々はどうすればいいのかということをちょっとご意見賜らせていただきたいと思います。

中西:  パネラーの方に答えていただく前に、もっと出していただけたらと思いますので。独立行政法人のことは後でもう一度お願いするつもりにしておりますので・・・はい、どうぞ。

―国の隠す性質を改善したい〜C型肝炎弁護団として―

質問者:  私、薬害エイズの大阪訴訟の弁護団をやっておりました弁護士の山口です。今回薬害、C型肝炎の弁護団をやっております。今日の第一部谷さんの薬害ヤコブ病の報告、それからMMRの被害者の方の報告、それから今の第二部のパネルディスカッションを聞きまして、国というのはなんでかくも薬害被害が起こった後、この資料を隠すのかということを更に痛感いたしました。

 というのは、わたしども薬害エイズの時に、訴訟の最中国は一切資料を出しませんでした。何も出さなかった。分からなかった、知らなかったと言って、押し通しました。しかし、和解で国も責任を認められたんです。

 どうして認められたかと言うと、訴訟の最終段階になって、国の責任があるんだ、国は知ってんだという資料が突然出てきたんですよね。どっから出てきたか。これは被告企業からです。口表ですね。被告企業は10割責任を負わされるよりも、国も責任負わせたら当然得だからそっから資料が出てきて国の責任がどっと認められたという経緯があります。そのあと、当時の管厚生大臣が謝罪をしたあと、どういうことになったか。厚生省に調べろという命令を送ってから、ロッカーの奥から大量の資料が出てきました。そういうことがあった後、ヤコブ病、更にMMRで同じ様にまた資料を隠している。この体質が変わらない限り薬害被害というのは絶対治らないなというのを痛感しております。

 薬害C型肝炎の時にはそういうことがないように、今日は厚生労働省の方も来て頂いているので、是非お願いしたいということと、実は今回10月21日に、大阪で3名東京で13名主にフィブリノーゲンによるC型肝炎感染の人たちが原告になって国と製薬企業の訴訟を起こしました。3人と13人。なんて少ないんだろうなというふうに思われるかと思います。このあと、救済ホットラインに電話をすると、毎日山のように電話がかかってきます。何千件という相談件数です。しかしその中から訴訟できる人というのはごくわずかなんです。なぜかというと、15以上も前の話。この血液製剤のHIVの問題が出てるときに、C型肝炎の問題もあったんですけども、我々法律かもその問題をしばらく放置したという責任も感じております。15年以上前でカルテがない。どうも投薬されたように思うんだけど分からない。客観的資料がないんだから訴訟起こせないという方々が多数おられるんです。旧ミドリ十字なんですけども、厚労省への報告では1980年代以降、このフィブリノーゲン製剤を中心の30万人に投与したと。投与した医療機関7000といわれてます。C型肝炎に感染されてる方はおそらくおよそ10万人以上、このフィブリノーゲンに感染されている方がいらっしゃると思っております。

 しかし、国はこの7000の医療機関をいまだ公表しようとしません。C型肝炎は進行性の病気です。気付いてない人たくさんおられると思います。ぜひこの7000の医療機関を国は公表すべく、みなさんのお力を借りたいと思っております。12月26日に10時から大阪で第一回の薬害肝炎の公判が行われますので、是非今後もみなさんよろしくお願いいたします。それからパネラーの方にこの7000の医療機関について、これを公表するのは薬害を最小限に抑え、また病気の進行を少なくするための国の最小限の義務だと思うんで、その点どう思われているかという点についても一言コメントいただければと思います。よろしくお願いいたします。

中西:  みなさん、ご協力して頂いているのか分かりませんが、時間がもう少しございますので、感想も含めどうぞ。

―流れた情報はどう受けとめられる?元製薬会社勤務の経験から―

質問者:  あの、私、もとバイエル薬品にいました林と申します。ここに片平先生の資料をさっと見せていただいて、バイエル薬品のグルコバイですね、アカルボース。これについて、劇症肝炎が出てるということを見ましてですね、ふと思い出したんですけれども、このアカルボースをですね、承認するときにアメリカのFBAの審査担当者、女性の方なんですけども、この方は私がアカルボースを承認することはないと。私は死んでも、このFBAを去るまでアカルボースを承認することはないだろうという風に言われた審査担当者がおられるくらいに、FBAなんかではきちっとしてるなっていうような印象がありますので、是非厚生省の方も独立法人で外側へ投げ出すのもいかがかなと思うんですけども。要するにあの、信念を持ってですね、仕事が出来るようなかたちになってほしいなというのが第一点。

 それから薬害の患者さんたちがどういうふうに思っておられるのか、その辺をちょっとお聞きしたいんですけども。私は平成8年にですね、遺伝子組換えのコーディネートで会社に対してですね、この商品は非常に問題があるので、品質問題を徹底的に究明すべきだということで、・・・(聞き取り不能)・・・をですね、医薬品管理者として対処勧告したことがあるんですよね。そのあとですね、いろいろコーディネート、使っておられる方もいらっしゃると思うんですけれども、・・・(聞き取り不能)・・・事件だとか、色んな経過を経てきました。

 そのときですね、製薬企業の中にも薬の品質について疑問を感じる人間が居たときに、その実際使っておられる方たちにですね、どういうかたちで情報を伝えた方がいいのか。社内で議論しましてですね。要するに、偏見と差別受けるわけですよね。場合によっては、内部告発的なことをすると、商売を妨害したということで、逆に損が賠償請求するぞというふうな脅しも受けたときにですね、逆にそういう情報を外部に流した時の流れようって言いますかね、どういうふうな形で伝わっていくのかを危惧するわけですね。ある人はそれを使っていて自分のために良いと恩恵を言っている人もいるでしょうし、またはこれ大丈夫なんかなという感じで、細々と使っておられる患者さん達もいらっしゃるだろうなと。そういったときの情報の流し方ですね、それは果たしてですね、製薬会社の中にいる人間、それからその薬を使う方、それと薬を認可する側。色んな立場の方がいらっしゃるときに、情報の流れをですね、どういうふうにすればいいのかな、というふうに悩むんですよね。かなりこれはシステムになると思うんです。そんなこと言ってくれなければ良かったという風におっしゃられる患者さんもいらっしゃるんじゃないかな。そういうとこがですね、非常にデリケートな問題で、かつセンシティブな問題ですんで、その辺をですね、もっと情報をスムーズに整備する、いい意味でですね、隠しちゃうってことじゃなくてですね、これをどうすればいいのかなっていうことを何らかの機会、いろんな教育の場もそうでしょうし、必要じゃないかなという印象を持ってるんですけども。

中西:  ありがとうございました。予定している時間がきてしまいましたので、パネラーのみなさんからですね、今会場の討論の中で、一番最初の方の予防接種の関係でどう考えたら良いんだろうというお話も出たわけなんですが、非常に端的に。

―危険情報を知り、市町村、国へ伝えていく作業を!―

栗原:  ワクチンが、どの程度ね、感染症予防に貢献しているのかということについて、はっきり言えるのは1960年ころ流行したポリオ、それに対して市民運動がきっかけになって、旧ソ連から生ワクチンを導入してね、緊急輸入させて・・・(聞き取り不能)・・・それについては誰も否定しないけれども、その他のワクチンについてはワクチンが開始される前からもう色んな病気、もう減少傾向にあった。減少傾向にあったときにワクチンがスタートした。それほんとにワクチンが効いてんのかというね。そういう曖昧な世界だという印象を強く持ってます。

 ですから非常に難しいわけですが、少なくとも今我々がした方がいいのは、市町村レベルまで、平成6年の改正以後、副反応報告全国集計っていうのが、年一冊集計されて、冊子が年一冊出てますんで、そこいらを丹念に見ていただくと、危険情報の一つとしてね、見ていただく努力を。そして、それを色んな人に広めていくと。役所の方はそれを活用して、情報を流すっていうことをまだ何もしてませんので、市民の側からそういうことをやっていただくっていうのが一つ大事かなって思います。

―必要な規制と内部告発者保護法の充実を―

片平:  2つ申します。規制緩和で薬害が大きくなるんじゃないかというご心配ですよね。私もそのとおりに思ってます。それで、肺ガンの治療薬でイレッサ。これは世界で先駆けて日本で、真っ先に承認されてそれで管質性肺炎で死亡者をかなり出しているという問題も出てまして。これは末期の肺ガンで有効が他にないので、仕方ないんだという人もいるかと思うんですけど、やっぱりこれは問題だと思っておりまして、そういう色々の・・・(聞き取り不能)・・・やはり必要な規制はきちんとかけるべきだということをいい続けていきたいと思います。

 それから、今のバイエルの方のお話ですけれど、情報を提供すると・・・(聞き取り不能)・・・その人を守りながらかつ問題提起すると。非常に難しいんですけれど、過去においてそれを出来たことがあるんです。私は・・・(聞き取り不能)・・・をしておりますけれど、そういう考えで私どもはやってます。提供していただいた人のことの情報を絶対流さないで、・・・(聞き取り不能)・・・それから内部告発者保護法の問題としても議論が必要なんですけど。ちょっと時間がないので。

―専門家の立場を超えてやるべきことをやろう〜情報開示―

中西:  時間が押してきましたが、勝村さん、情報開示のことで。

勝村:  まずあの、病院名を明らかにしないということですけども、これはほんとに花井さんの方からも第4ルートのときにも全く同じことがあって、結局は公表していくんだということになって、早くされるべきだと思っていますし。

 先ほど、だいぶ数の分もありますけど、最近東京で何とかいう大きな賞を取った大鵬薬品の労働組合というのがありますが、今10人か15人しかいてないような労働組合ですけれども、そこの研究者が同じ様に・・・(聞き取り不能)・・・を作ることによって、自分の社の危ない薬を無理矢理出そうとしたということを認めたということが今非常に評価されて一ヶ月前、朝日新聞のヒト欄とかでその人が紹介されたりしてましたけど、やはりやるべきことはやっていくというのが大事だと思いますね。

 それで、僕達被害者団体が一つになって集まるというときに、大切な観点というのは、専門家達が何とかしようとするだけでは駄目だと思うんですね。悪い専門家たち、いい加減な専門家たち。専門家っていうのは、厚労省の役人も含めますが。その人たちがしっかりしてくれれば薬害が起こらないんだと。彼らが良くなれば、行政が良くなれば、薬剤師が良くなれば、医師たちがしっかりやってくれれば、そういう専門家がよくなれば良くなると言っているようでは駄目で、そうじゃなくて何が大事なのかと言ったら情報公開とかですね。

 情報公開というのは、悪い人のために良い人が僕達に任せておきなさいという意味じゃなくて、国民に下手にほんとのこと言うと誤解するとかそうじゃなくって、国民が主権であって、国民を信じるのであって。だから教育であって、・・・(聞き取り不能)・・・まず、正しい情報、出来るだけきっちり伝えていくんだと。国民を信じていくのかいかないのか。それが信じてもらえなかったがために、ほんとのことを言ったらパニックが起こる、ほんとのことを言ったら誤解するかもしれないというなかで、何が残ってるかと言ったら被害ですね。

 厚労省の役人たちは被害に遭わないけども、国民が被害に遭っているという薬害があったと思うですよね。そういうふうにならないようにほんとに情報公開の意味というのは国民を信じるということであって、それで国民が誤解をするようだったら、更にレクチャーをし続けていくと。正しい情報を伝え続けていくという姿勢をもってもらうために、私たちは闘い続けているという趣旨もご理解頂きたいと思います。

―緊急報告「特殊法人関連法案」に関して―

中西:  ありがとうございます。みなさんのおかげで、ご協力いただいたおかげで、そんなに時間もオーバーせずに無事第二部のパネルディスカッションを一応これで終了させて頂きたいと思います。ただこのあとですね、プログラムにはないんですが、特別報告をしなければならない情勢が今国の方で起こってきております。それも踏まえましてですね、ただいまからですね、実は、国の方でこの11月11日から衆議院議院の特別委員会で審議に入りました、特殊法人関連法案というのがあります。実は、国民にはほとんどその中身が知らされていないんですが、実はほんとに大変なことが起ころうとしています。

 46の法案が出ているわけですが、議員もですね、満足にその法案の内容が分からないという中で審議が進んでいます。その中に私たち薬害被害者にとってはとても許せないという状況が起こっています。そのこれが法案の資料なんですが。国が今特別委員会に審議提案してます資料です。そのことにつきまして、代表の花井さんの方から特別に報告をお願いいたします。

―独立行政法人化で何が変わるか―

花井:  お手元の資料「独立行政法人 医薬品機器総合機構法案に関する緊急要請文」というものと、それから「独立法人 医薬品機器綜合機構 設置についての声明」というのをご参照ください。

 この法律は何が問題なのかというところを簡単に申し上げますと、先の国会において実は薬事法とそれから血液法の完全な法律を作りまして、いわゆる生物由来の医薬品に関連しては規制をかなり強化していこうという法律が成立したわけですが、厚生労働省の中の医薬部ということろが昔医薬局というところがあるんですが、医薬局が安全監視と審査管理、そういったことを行っています。

 それで、今までの審査に関しては、本体でまかなえない分を一部特殊法人、これは先ほどから出ている救済機構の一部と、それから審査センターというところ、これは実質上国立で衛生センターの出先機関である部分と、三ヶ所に分割して審査を行っていたわけです。今回の独法法案、いわゆる合理化で道路公団とか特殊法人を減らすという中で出てきているんですが、それがどういうわけか独立行政法人の中で、薬品の審査のほとんどの審査業務、それから安全監視業務、それから被害者の救済業務、それから開発研究振興業務。これを全部一緒にやってしまおうという案になっているわけです。

 独立行政法人って何?っていうこともあるので、何が問題かというと、まず独立行政法人の通俗法というのがございまして、このページの中に、(この法律において)『独立行政法人』とは国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、次が重要なんです、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものをまたはその位置の主体の独占して行わせるものが必要であるものを公的かつ効果的に行うということを目的としてこの法律を、ということでありまして。まあ、民間で営利的にやったらこれは本来誰も手をつけないだろうけれども、しかし国がわざわざやる必要もない。こういうところだろうと私は読めるんですが。

 さて、薬品の安全監視もしくは審査業務というのはそういった業務にはならないのだろうかというのが一つあるのであって、研究開発振興業務というのは企業を応援するわけですね。応援する業務というのはテキストでは半民半公営でやるのもそれはそんなにおかしくない。しかし、審査・安全監視業務というのはやはりそうはいかないだろうと。具体的に何がまずいんだといいますと、まず独立行政法人は、どっからお金をもらってこの業務をするかというと、今回の案ではおそらくトータルで200億円近いお金を企業からひっぱってきてこれをやろうとしているようです。その中で救済にかかるお金が大体十数億といってましかたら、ほとんどが審査・安全管理・開発振興にかかる。この200億っていうのはおそらく日本のエイズ対策費用が大体130億円くらいですからね、全体で、厚生労働省ではね。それを上回るわけですが。

 こういったお金を入れて、しかも大幅に人を増員するときにこれは優秀な人材であったらいいということであれば、やはり製薬企業の人間から広く人を集めていると。もちろん製薬企業の人間が全員悪いとは言いませんが。しかしです。この国が責任を持つべき。逆に明確に国が責任をもって、安全な医薬品の提供するために誓うと。監視、まあこれは中央監視が行政の役目であるわけなんですが、その行政責任をもっとうする方法論として、この製薬企業から大きくお金を引っ張り、さらに民間の人間をたくさん入れるこの独立行政法人。しかも国が自ら主体となって直接実施することが必要がないなどといって、外注するみたいなことで良いのだろうか。

 というのは、良いとか良くないとかいう問題ではなくて、これは言語道断であるというのが私たちの考えであると。つまり、開発振興を応援する話と閉める話。「こんな新薬できたの。応援してやっとできたね」っていうのが、審査になったら「これはやっぱり問題あるから認可しない」っていうところを業務がですね、全く同じようなことでやる。これを泥棒警察が一緒だとか、狐鶏の・・・(聞き取り不能)・・・とかいろいろあるわけなんですが、もう全く問題外なんですが、この非常に日本の医薬安全行政のターニングポイントとなるようなこの改革がですね、まさに先ほど言ったように一発の40以上の・・・(聞き取り不能)・・・の中で、すっと行っちゃう。で、この例えみたいな話が、衆議院国会で来週明けにも採決されかねない状況にあって、次参議院に向かうわけです。

―市民の声でホームランを打とう!―

花井:  私どもは、状況から言えば、相撲で言えば、とくダワラに足がかかってこう頑張っている状態。野球で言えば9回裏、2アウトで3点差でもうどうしようもないという状態。しかし、私たちはこのぎりぎり土壇場でわざとちょっと当たった振りをして、ベースを埋めてます。つまり最後に逆転サヨナラ満塁ホームランということが考えられるわけで、そのことを実現すべく私たちは今活動しています。ここでお願いしたいのは、みなさまに様々なホームぺージ等で、行政、厚生労働省へのアクセスが出来るようになっておりますが、そこに会してやはりこんな盗っ人に番をさせるような、・・・(聞き取り不能)・・・こんなミソもクソも一緒みたいな、ことでやってよくないというところをですね、ファックスなり、メールなりでですね、市民の声、最後のホームランを打つのはやはり市民の声が大きいですし。

 政治家はね、なかなか世論を含めてかなり問題意識を持ってきてますし、実は公には認めませんが1人ひとり色々聞き取りをしてみますと、実はそんなにこれを良い案だと絶賛してるわけではなさそうです。今の状況、行革の大きな流れの中で、特殊法人・・・(聞き取り不能)・・・脈絡で語られているわけです。これはもう政治の道具になってるわけです。

 そういったしがらみでみんな述べなくなっているが、よくよく読むとこれはとんでもないとみんな思い出しているところですので、ここで大きく市民の声が盛り上がれば、これらのフル・スウィングが場外消えていくという可能性も十分あると思いますので、是非お願いしたいということでございます。独立行政法人医薬品機器綜合機構法案は厚生労働省、国の安全性に関する責任を放棄するものであって、絶対に許すことができないと。この一言でいいと思います。よろしくお願いいたします。

――

中西:  11月の14日にですね、実はこの薬被連、そしてNPO法人医薬ビジランスセンター、それに医薬品治療研究会、薬害オンブズパーソン会議、日本消費者連盟という合計5つの団体がですね、小泉さん宛てに緊急要請文を送ってました。今日はその一つのNPO法人、医薬ビジランスセンターの浜先生がお見えですので、ちょっとひとつこの問題について、手短によろしくお願いします。

―医薬ビジランスセンターでの仕事―

浜:  医療ビジランスセンターの浜です。医薬品治療研究会、意思薬剤師向けのチェックリストというというのを出しております。そこのスライド。それから薬害オンブズパーソンでのメンバーでもあります。

 医薬ビジランスセンターがどういうことをやっているのかといいますと、要するに国民、民が国を監視する。ネズの番をして監視するというビジランスという意味なんですが、そういう活動をやっております。特に薬の有効な、あるいは確実に必要な薬か、あるいは有害無益な無価値な薬であるかというのを見分ける作業をやっております。そういうことをやりまして皆さんがたの役に立とうと。そういうことをやっておる。その情報を発信していってるんですけども。

 ちょうどこの5年前に阪大コンベンションセンターで医薬ビジランスセミナー第一回やりました。薬害被害者の方々にもおいで頂きまして、医師薬剤師とそれから皆さんと一緒になって、この薬の良い悪いを見分けようというそういうことをやりました。2回目、3回目。3回目はついこないだ開いたんですが、ぜひとも我々がやっていることも皆さん方に是非お聞かせしたいし、それから皆さん方の被害の状況というものを、是非我々も聞きたいという風に思いますので、ちょっと今年は被害者の方々お招きしませんでした。ちょっと後悔しております。ぜひこれからは皆さん方と一緒にやっていきたいと思うですが。世界ではですね、毎年何千万の人が薬がないために、高価なために死んでいっております。

―無効で効果なのが価値あるものとして出回る社会―

浜:  一方日本では、薬が、良い薬が、ほんとに確実に良いという薬がかえって安いために使われなくて、有害なあるいは無効な高価がはっきりしないものが、新薬としてあるいは価値のあるものとして、何か化学者のお墨付きをもらって、医療が売る。そこで得たお金ですね、しかも研究もですね、そういうところは人事も操っていくという構造があります。まさしく癒着とかいろいろ言われますけども。構造のもとでいわゆる薬害が起こってきてる。

 実は1980年ごろまでにですね、ほとんど有益な医療に必須の絶対に必要な薬というものはほとんど開発され尽くしております。現在ですね、ゲノムとか、ゲノム装薬とかあるいは遺伝子治療とか色んなことが夢のように語られておりますけども、ほとんどまだ夢であって、なんの現実性もないというそういうものに極めて大量の金をつぎ込もうとしてる。そういうことで早く薬として世の中に出したいと。そういう動きのもとにですね、この独立法人の話も出てきておると。

 アメリカではすでにその承認のところで、承認審査にですね50%の予算を企業から賄われている。ほとんど企業からのお金で、承認審査をしているために極めてあぶない薬がどんどん出来ていると。例えば、モスカルという日本で駄目になった薬ありますが、あれが承認された年にアメリカで、40種類くらいの薬剤がアメリカで承認されましたけれども、一年以内に4つの薬がもう駄目になって、市場から消えるという。そういう早く承認もされるけれども、危ない薬もどんどん出るという。一時アメリカは承認審査が厳しい国と言われてますけれども、いまやもう全然当てにならない国成り下がってきておりますが。

―企業が企業の薬を審査する理不尽さ―

浜:  しかし、それよりももっと危ない状況に日本はどうもなってきている。アメリカでさえ、国が審査するのにですね、これは国の予算で全部、国の予算というのは、国の人物でやっておるわけですけども、日本はそこに企業の出身の人物をどんどんとりれて行こうと。従って国がやるのか企業が自分自身で開発した薬を自分自身で審査するのか。訳が分からない状態になり極めて危険な状況が表れてきているというのがこの独立法人の一番の状況です。

 こういう状態を許している限りは日本は全く、薬害はもう、これまでのですね、情報公開がちょっと制限されるとかそういうところの騒ぎではない。全く丸ごと企業の言いなりになるという状況が出てくると思います。薬害というのはですね、一部の企業が起こしたものではありません。ほとんどの薬害、何らかの薬害にどの企業も関与しておるわけです。極めて危険な企業にこういうふうに任すということはですね、ほとんどの企業が何らかの薬害に関与してる。そういう企業の人物が承認審査あるいは安全性の監視に関わってくると、そういうことになりますと守秘義務ということで縛りをかけてるということもありますけれども、何もそれが縛りにはならない。どこでどういうふうに情報が漏れるかさっぱり分からない。

 それに対する罰則規定とかそれを監視するのにどうするのかということに関する規定が何にもありません。罰則も極めて安い。情報を提供しないって言ったってですね、何百億もの利益が期待されるようなそういうところに30万円の罰金課せられたわけです。情報提供しなくても30万円罰金が課されるだけで、提供しなければこれは何百億もの利益を得てですね、その後3年4年後に、ああやっぱり薬害が出ました。止めましょうということで、大きな薬害を残して製薬企業は・・・(聞き取り不能)・・・と思っている。出来上がってくるというふうに思います。

―国は良い薬を見極めろ!―

浜:  今、ほんとに国を挙げてしなければいけないことというのは、そういう訳の分からん希少薬の開発に国がお金を出して、ほんとに良い薬を作るということろに金を出すのはいいですけども、訳の分からんところに出すというのは止めてほしい。むしろほんとにしなければならないのは、ヨーロッパでもどんどんやっておりますけれども、今ある市場に出回ってる中でですね、良い薬とほんとに効く絶対に必要な薬と、それと効かないあるいはきっと効くという証拠がない、あるいは有害であるということが分かってる。そういうものを区別すること。そういうところに国の予算をどんどんつぎ込んで、人も金もつぎ込んで評価をしていくというふうなところにいかなければならない。

 ところが、そういう予算がですね、全く用意されていない。そういう状況なんです。皆さん方とともに、ぜひともそういう評価を国が選ばないのであれば、みなさんが我々がやらなければどうしようもない。そういう状況ですので、今後ともですね、私どもはそういう良い物と悪い物を評価していこうというふうに、活動していこうと思っておりますので、ぜひとも皆さんのお力を借りて、私どもにどんどんやらせようと、そういうところにこれからも行きたいと思います。

 その前にですね、ともかくこの特別行政法人という企業の人間が直接審査あるいは安全監視のところに携わろうと、こういう100年の計をあやまるというそういう法案はぜひともつぶしていただきたい。ぜひともつぶすために私どもの全力をあげてやりたいと思いますので、一緒になってやっていきましょう。どうも時間が延びましたけど、ありがとうございました。

中西:  ありがとうございます。実はこの法案18日に46原案全てをですね、特別委員会で一括採決する予定になっています。11月20日には本会議で採決と。25日に参議院での審議が開始されて、12月2日に参議院で採決。という日程が明らかになっています。その意味で、今日参加頂いた方も家に帰って厚生労働省の方にアクセスして頂いて、是非立ち上がっていただきたいなというふうに思います。ではその思いも込めて、最後に声明文を皆さんに発表したいと思います。よろしくお願いいたします。

―声明文の発表―

吉田:  ・・・(聞き取り不能)・・・の吉田です。声明文を読ませていただきます。

 ― 声明文 ―
 薬害根絶を実現するべく、薬害被害者団体によって結成された「全国薬害被者団体連絡協議会」は、本日、第四回薬害根絶フォーラムを大阪で開催することが出来ました。
 私たちは、薬害根絶実現の為に様々な活動を行ってきましたが、関西での開催を機に、改めて、私たちの原点である、繰り返される薬害被害の実態とその教訓について認識することができました。同時に、課せられつづけてきた問題と新たな課題についても参加者の皆さんと共有することができたと思います。現在、MMR薬害訴訟と薬害C型肝炎訴訟が係争中であり、陣痛促進剤被の続発やあり度まいどの復活の動きが出るなど、薬害被害はけっして過去のものではありません。
 私たちは、薬害被害者の完全救済を実現し、私たちの体験を医薬安全行政の改善に生かす努力をするとともに、薬害教育が広く行われるよう今後も活動を続けていきます。
 先の通常国会においては、薬害被害者達の長年の努力の結果、「薬事法」と「採決及び供血あつせん業取締法」の改正法が全会派一致で可決され、生物由来医薬品の安全監視体制の強化や血液製剤の国内自給の原則が定められました。
 ところが、厚生労働省は、本臨時国会に医薬品の審査、安全監視業務と研究開発振興業務、副作用等被害救済業務を一つの独立行政法人に任せる法案を提出しました。この法案は、薬害の教訓を生かすどころか、医薬品等の審査、安全監視業務を、製薬企業自身にイニシャティブをとらせることになりかねない法案であり、被害者たちの薬害根絶に向けた思いを踏みにじるもので、とうてい容認することはできません。私たちは、厚下法案(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法)に強く反対し、国が責任をもった審査、安全監視体制と患者の視点にたった救済制度の充実を求め、先日、国に要請分を提出しました。
 私たちは、真に患者の利益に叶う安全な医薬品が、安全に使用される医療の実現を目指して、これからも取り組んでいきたいと思います。
以上
2002年11月16日
「全国薬害被害者団体連絡協議会」

中西:  皆さんにはこの声明文、確認していただきたいと思います。時間が非常に迫って申し訳ございませんでした。本日は最後まで本当にありがとうございました。これで第二部を終了します。閉会の挨拶の方へ移りたいと思います。

―閉会の挨拶―

村田:  長時間ありがとうございました。・・・(聞き取り不能)・・・これで長時間に渡る薬害根絶フォーラムを終了したいと思います。

 薬害被害者たくさん来られて、大阪の地で薬害根絶フォーラムを実施し、そして終了できたことをお互いともに喜び合いたいという風に思います。来年どちらでやるかというのは、また今度討論するわけですけども、今後とも薬害根絶フォーラムにご支援ご協力を頂きたいというふうにこの場をお借りしまして、お願いを申し上げたいと思います。

 最後にお願いがございます。最初にも申し上げましたが、ご感想をお願いしますというこういう紙が入っております。ごくわずかでも結構ですから、お埋め頂いて今日参加して頂いたご意見を是非お聞かせ頂ければ来年以降の我々の運動に生かしていきたいという風に思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。受付のところで回収をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。今日はほんと長時間ありがとうございました。

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