千葉・ちいき発


やっぱり必要、みんなで作ろう!49

 6月議会での条例案の取り扱いについて、新聞等でいろいろ報道されています。近いうちにみなさんにも正確な情報をお知らせする予定です。目先の状況に一喜一憂せずに、粘り強い取り組みをしていきたいと思います。将来にわたってすべての千葉県民の宝になる条例です。

条例勉強会で気づいたこと

 この2週間は毎日のようにどこかで条例勉強会が開かれ、できる限り参加しています。障害者や家族だけでなく、県議や市議、一般市民などが多数参加して熱心に聞き入ってくれています。事務局のみなさんに感謝いたします。新聞などで報道されているところによると、6月議会もかなり厳しい状況ですが、勉強会などで出会う県議の方々はとても熱心で、力強い味方が着実に増えているのを実感します。また、ある県議の方から後日、電話をいただき、温かい激励や現在の県議会の状況を教えていただきました。「この条例は何としても成立させたいと思っている県議は多い。なかなか打開策は見つけられないが、これからもいろいろ努力してみる」と話してくれました。
 そこで痛感させられるのは、まだまだ条例案のことが知られていないということです。一般市民はともかく障害関係者には伝わっていると思っていましたが、「これまで知らなかった」という人が意外に多いのにびっくりします。「もっと早く知っていればよかった」という声も実によく聞きます。
 また、この条例ニュース「やっぱり必要 みんなで作ろう!」は事務局のお陰で多くの人に配信・郵送していますが、もっともっと購読者を広げていく必要があると思います。100人以上集まった会場で「条例ニュースを読んでいる人は?」と問いかけたところ、ほんの5〜6人しか手が上がりませんでした。メールアドレスがある人の登録を増やしていくことと、メールをやらない人には勉強会を主催してくれた各地の育成会やネットワークがそれぞれ基点になって地元の関係者に配ったり、多くの人が閲覧できるような方法を考えていただけるとありがたいと思います。

市川の勉強会報告

 八代英太さんを招いて6月3日に開かれた市川市での勉強会で、会場からの意見、参加者の感想を村山園さん(市川市手をつなぐ親の会)がまとめてくれました。メーリングリストなどで既に読んだ方もいるかもしれませんが、改めて掲載します。

<会場からの意見>

○知的障害のある中学生の母です。日常、特にいじめも差別も感じないで日々を送ることができています。が、ひとつだけ。小中学校の特殊学級に在籍しているのですが、学校全体の行事などの時に、特殊学級の生徒の存在を忘れられてしまうことがあり、親としてはとても切ない思いをします。例えば、宿泊行事の説明会、給食試食会、中学校の入学説明会などにいくと、名簿に子供の名前がない!のです。その都度、役員さんには話して関心を持ってもらうようにしていますが。この条例で障害があっても普通に暮らしていることを広く知って欲しいと思う。
○八代氏から 事例をひとつ・・・筋ジスの中学生が転校で、ある小さな町の中学校に来た。身の回りのことはすべて家族がするから受け入れてくださいとお願いし受け入れてもらう。担任が事前に、生徒に重度障害のビデオを見せて感想を書くようにいうと、「惨めな姿だ、みっともない」「自分なら死にたい」・・・など素直な感想に担任は不安なままの受け入れだった。けれども日々の中で、とても気になる存在、だんだん慣れてくる、距離が近くなる。どんどん手助けするようになる。そして、彼のために同じ高校に入学する生徒が何人もいた。やはり、子供の世界で分離はいけない。出会い、共に机を並べることのすごい力があるのだ。未理解からは何も生まれない。
○野沢氏から 無意識の差別、忘れられることの痛みは大きい。多数派の側が、少数の人たちの辛さを理解していくことが大事。それが条例のもつ大きな意味です。

○県議です。条例には賛成したい。ただ、入所施設・病院を否定するような文言はいかがか、と、教育関係ではやはり予算措置が必要なのでは?と思う。
○八代氏から 1つ1つ進んでいくこと、心の開拓が大事。
○野沢氏から 入所施設が必要な時期もあるが、期限がなかったり、必要がないのに入らざるを得ない人がいる、そのことを指しているのです。まずは、議論して修正等もみんなで考えていくのも良いだろう。条例という袋ができれば、袋には予算がついてきます。

○小児科医です。保育園・幼稚園で、医療的ケアが必要な方の入園希望に対して、その体制がないので受け入れられない、という事例をよく聞く、相談も受ける。こういうことを隠れ蓑にして受け入れないという例も聞く。悪意なくリジェクトされる世界について、マスコミでもしっかり追ってください。

○精神の当事者です。今は通院と服薬で暮らしています。長い入院時代、辛かったのは人間的に扱われないということです。社会的入院をなくす、そこに目を向けて欲しい。

○精神の家族です。精神障害の認知はまだ歴史が浅い=認知が浅い。見た目でわからないので偏見が強い。事件を起こしたのが不登校・うつ病の人、というだけで、マスコミの取り上げ方が偏り、余計に世間の偏見を増してしまうこともあるのでは? 家族自身も偏見の目の中で身動きできなくなってしまう。 サポート側も試行錯誤で一歩一歩進めているが、この条例ができたらうれしい。一般市民に向けてのこういった場をたくさん設けてください。
○野沢氏から 精神当事者のおこなったタウンミーティングがよかった。
○八代氏から 「水のつめたさは、触ってみないとわからない」ということ。障害があっても地域の中でしっかり生きていく、共に暮らしていくことをあたりまえに、・・・それが、人間社会のあたたかさを育てていくのです。

<当日アンケートより 抜粋>

○知らないことがたくさんあり、参加できてよかった。条例案、賛成です。是非、議会を通して欲しい。議員の皆さんよく考えて下さい。「日常の暮らしにくさ」について思うことは、電車の中で、車椅子の方の場所がないこと、乗り降りの不便さ、また、そのことに気を使ってくれない乗客が多いことなど。また、今日のような会が大切だと思いました。
○意見では、現実のことがわかってよかったです。まだまだ、暮らしにくさや壁があるんだとわかりました。それが解消される条例でありますように・・。また、健常者にとっても大切な条例だと思いました。ともにがんばりましょう。
○30年ぶりにアメリカに旅行し、ADAの威力を目の当たりにしました。法律の威力はすごいです。条例案は、第一歩と思います。
○マスコミが作る偏見についての議論が必要なのではないでしょうか。
○いろいろな立場の人の意見が聞けてよかったが、時間が足りないと思いました。条例案は通るとよいと思う。
○大変有意義な集会でした。辛い思いをされている方々のご意見もたくさん出され、よかったです。市川市にも同様のものが欲しいと思います。小さく生んで大きく育てる・・ことを是非やっていってください。(財源確保もやはり大事ですけどね)
○政治、政策に改善は必要だと思います。でも、その政策が実現するには時間がかかります。私達は日々日常を生きていかなくてはなりません。政策を期待するより、私自身に自信を持って仕事をし、周囲の人に支えられる立場であることを身にしみて感じている為、自身の行動次第で周囲の見方・見解が変わってくれれば幸いに思います。正直、政治には期待してません。どんないい話も、それは「一時は気が楽になる」かもしれない・・くらいです。ただ、日常はそんなに甘くはなく、健康な人たちの中で生活していかなければならない現状ならば、その中で自分なりに適応するよう努力していく必要もあると思います。「差別をなくす」運動について私は期待もしていませんし、偽善だとしか思えません。
○5人のかたの意見と、野沢さん、八代さんとのやり取り、大変勉強になりました。精神障害の方との関わりの難しさは実感しています。条例案については、どれほどの人が理解されているか、また、県民への広報はどうするか・・・、会場での意見にもありましたが、一般の方を交えてのタウンミーティングなど小集会を増やしていく必要があるのではと思います。「日常の暮らしにくさ」については、相手方に迷惑(差別・偏見)を掛けているかもわかりません、言語に注意して活動したく思います。
○差別・偏見がないと言いつつも、いじめや無視をしている、「あなた障害者なんでしょ?」などという質問をする、白い目もある? 心のどこかでイヤな気分になる。日々つもると辛い。
○正直に生きて、一生懸命していけば、同じ人間、分かり合えると思う。

条例の成立を願う会カンパのお願い

 障害者や家族などの市民が手作りで活動しています。ニュースレターの郵送代など諸経費がかかります。カンパをお願いします。
●銀行名   千葉銀行  店番号 011(市川支店)
●口座番号  普通  3685907
●口座名義  千葉県手をつなぐ育成会  会長 田上 昌宏
※団体などのご寄付で、領収書を必要とする場合は、お手数ですが県育成会にFAXで送り先をお知らせください。入金を確認したうえで、お送りいたします。
千葉県手をつなぐ育成会 FAX043−242−6494 рO43−246−2181
info@chi-ikuseikai.com

<呼びかけ人> 田上昌宏(千葉県手をつなぐ育成会会長)/竜円香子(同権利擁護委員長)/大屋滋(日本自閉症協会千葉県支部長)/土橋正彦(市川市医師会長)/植野慶也(千葉県聴覚障害者連盟会長)/野内恭雄(千葉県精神障害者家族連合会会長)/成瀬正次(障害者差別をなくすための研究会委員・全国脊髄損傷者連合会副理事長)/佐藤彰一(同・法政大大学院教授)/高梨憲司(同・視覚障害者総合支援センターちばセンター長)/野沢和弘(同・全日本手をつなぐ育成会理事)
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