千葉・ちいき発


やっぱり必要、みんなで作ろう!41

 2月議会報告会が16日、開かれました。あいにくの雨模様でしたが、会場は150人を越える人々でぎっしり埋まりました。千葉県議だけでなく、東京都議会からも2人の議員が訪れ、「千葉の取り組みを勉強しにきた。東京でもぜひ障害者の差別をなくすための条例を作りたい。これからもいろいろ教えて欲しい」と言っていました。
 呼びかけ人代表の田上昌弘・千葉県手をつなぐ育成会会長の開会あいさつ、野沢和弘・千葉県障害者差別をなくす研究会座長の報告、佐藤彰一・法政大学大学院教授(同研究会副座長)の法的解説のあと、会場からさまざまな人に意見を発表してもらいました。その要旨を紹介します。(走り書きのメモに基づいているので正確さにやや欠けるかもしれません。発表者のみなさん、すみません)

千葉県障害者差別をなくす研究会の横山典子さん

 「もっと条例が必要だ」という個人の声を集める必要がある。顔を出したくなければ顔を出さなくたっていい。声を上げてほしい。personal is politicalという言葉がある。個人的なことは政治的な問題であるという意味。条例について「障害者に特権を与えるのか」という批判があるが、条例は下駄のようなものだと思う。そういう下駄を履いて初めて障害者は障害のない人に近づける。けっして特権ではない。

同研究会メンバーで不動産会社経営の野老真理子さん

 みんなの声を積み上げて作ってきた条例だと思う。私は九十九里に近いところで不動産業をやっている。6月議会に向けて、どうやったら条例が成立するのか、自分に何ができるのだろうと考えている。私の地元にも県会議員はいる。条例を通せるための自分でありたいと思っている。

同研究会メンバーの森登美子さん

 心の目で見て、心の耳で聞いて、私たち一人ひとりが、この条例が大切だということを自分の隣の人に話していくことが大切。条例に反対されたからといって怒ったりせず、素敵な条例にしていきたい。

横山典子さん

千葉県手をつなぐ育成会権利擁護委員長の竜円香子さん

 条例を成立してもらうために、県会議員の人たちにお願いに行った。「大丈夫だよ」という議員さんもいたが、実際に県議会が始まってみると、あっという間に継続審議が決まってしまった。私たちに見せる顔と、議会で見せる顔が違うのだと思った。もう一つの顔にもしっかり訴えて行きたい。

市川手をつなぐ育成会の村山園さん

 地元の議員さんを訪ねて条例に賛成してくれるようお願いした。私たちには丁寧な受け答えをしてくれたが、「こんな条例聞いてない」とその場で知事に電話をされた。私たち障害児の親の素朴な思いを聞いてくれるのかなあと思っていたら、継続審議になってしまった。一生懸命に説明することを重ねて行くことが大事だと改めて感じた。日々の暮らしの中で、地域の人や議員さんに理解を求めていきたい。

会員18万人の千葉県老人クラブ連合会の野老会長

 私は93歳になる。みなさんの普段の熱心な取り組みを見て、すんなり条例が通るのかと思っていた。継続審議になってがっかりした。日本社会の閉鎖的な問題がある。私たち老人クラブは福祉によって作られている。政治はご法度、宗教もご法度の中でやってきた。1991年に国連の「国際高齢者のための尊厳5か条」ができたが、日本に入ってくるのに10年もかかった。「政治や政策に参画しなさい」というのが5原則に入っているが、一般の年寄りはお上に任せていればいいと思っている。いくら虐げられても、福祉の恩恵を受けなくても、政治や政策に参画すればいいということをみんなに教えていけなかった。アメリカには全米高齢者連盟というのがあり、3800万人の加盟者がいる。参加率は50%くらい。千葉県の高齢者の参加率は15%に過ぎない。ただ、私たちはこれからやる。この2〜3年のうちに高齢者を社会に公認させる。片寄せあって心を寄せ合って、活動を協力に展開しようと思っている。みなさんと一緒に仲よくやっていきたい。

野老真理子さん 土橋正彦さん 野老会長 竜円香子さん

市川市医師会の土橋正彦会長

 医療機関で嫌な思いをした、困ったことがあったという事例がたくさんあることを、数年前に市川の障害者の親の会に突きつけられた。ほとんど自分たちが気づかないうちに嫌な思いをさせていることに気づいた。県に寄せられた差別事例を見ると、一番多いのは教育だが、医療は2位につけている。しかし、それだけ障害者と医療との接点が多いということだと思う。私は、医者になった者が障害者を差別するなんてあり得ないのになあと思っていたが、よく考えてみると、私たち医者は障害者に医療を提供することをあまり考えてこなかった。学校での予防接種などで、障害児が嫌がって逃げ回るのを追いかけて、抑えて注射したこともあるが、あれでよかったのかなあという思いがある。私たちは障害者を医療モデルからしか考えてこなかった。社会モデルの視点でとらえていくことで、障害者への医療をもっと広い視野から考えることができると思う。

千葉県障害者差別をなくす研究会の高梨憲司副座長

 個人的には継続審議になったのは想定内であったと思っている。そんなに簡単に成立するものではない。何もわからないまま受動的に受け止められて通ってしまったら、本当の意味での差別解消はできないと思う。もっと激論を交わしていくことが必要。その意味では(この議会は)大きな第一歩を踏み出したのだと思う。条例案や研究会の議事録を全部読んでいる議員がいるというのは素晴らしいことだ。あまり語られていないが、この条例のもう一つの大きな意味は、障害者が生きにくさを自ら伝える努力をすることが盛り込まれていることだ。障害者が住みやすい社会を作るのに周囲に頼っているのではなく、そうした社会づくりの主体に障害者がならなり、障害者が社会的市民権を持つことが重要だと思っている。もっと激論を交わすくらいの方がいい。こういう場に勇気を持って「冗談じゃない。障害者に特権を与えるのか」という議論ができる人がいた方がいい。よく行政に対して「障害のある人じゃなければわからない」という障害者がいるが、そういう時に行政の人が「ああ、わかる訳ないよ。障害のあるあなたと私は違うのだから。だけど、わかろうとは思っている」という議論をやってくれた方がいい。そういう討論を千葉駅前とか鴨川駅前でやって行ったらどうか。理解者が少ないところで、さらされながらやるのもいい。まあ、そういうところに私が行くかどうかはわかりませんけど(笑)

前衆院議員の八代英太さんからのメッセージ

 この条例案は、障害者の自立や社会の理解を深めるために、ぜひとも必要です。国が策定した障害者基本計画を身近な地域で生きたものにしていくためにも、私は全面的に賛同します。全国の先駆けとして、千葉県でこの条例をぜひ成立させてください。私は何でもご協力します。

<呼びかけ人> 田上昌宏(千葉県手をつなぐ育成会会長)/竜円香子(同権利擁護委員長)/大屋滋(日本自閉症協会千葉県支部長)/土橋正彦(市川市医師会長)/植野慶也(千葉県聴覚障害者連盟会長)/野内恭雄(千葉県精神障害者家族連合会会長)/成瀬正次(障害者差別をなくすための研究会委員・全国脊髄損傷者連合会副理事長)/佐藤彰一(同・法政大大学院教授)/高梨憲司(同・視覚障害者総合支援センターちばセンター長)/野沢和弘(同・全日本手をつなぐ育成会理事)
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