千葉・ちいき発


やっぱり必要、みんなで作ろう!36

議会傍聴報告(3月17日予算委員会)

花崎広毅議員(民主)

☆質問
 今議会の最大の焦点である条例案について、各会派代表質問、一般質問、予算委員会でも質疑が行われてきた。これは全国どこにもない先駆的な条例であることや、県民生活にとって極めて重要であることによるものと考えている。
 条例の重要論点の1つである、17条の適用除外について確認したい。17条では、過重な負担になる場合は適用除外になる旨定めているが、この「過重な負担」の具体的な判断基準についてどう定めるのか。また誰の責任の下に判断が下されるのか。

★答弁(健康福祉部長)
「過重な負担」の程度は、障害者のニーズや事業者の事業規模等が様々で、差別をなくすための負担も多様であるので、条例で一律の基準を作ることは困難。個別事例の集積を待ちたい。
 条例では、障害差別解消委員会や相談員等が、第三者的立場から公平に言い分を聞き、相談や助言、あっせん等を行うことで、個別事例に即した問題の解決を図る仕組みとなっている。「過重な負担」の程度も、個別事例ごとに相談員等を交えて関係者が判断することになる。

☆質問
 知事は、吉本議員に対する答弁の中で「地域相談員が判断する」と答えているが、これは今の「相談員」と同じか。

★答弁(健康福祉部長)
 「相談員」と申したのは「地域相談員」であり、先日の吉本議員に対して知事が申し上げた答弁と同じ。

☆質問
 「これからいろいろな事例を集積していく」とのことだが、これまでの研究会での議論はどんな議論だったのか。

★答弁(健康福祉部長)
 「最終報告」では、「過重な負担」について「個別の事例はその時点の社会的環境によっても変わるもの。したがって、条例では一定の基準を作ることは困難であるため、今後の個別事例の集積を持って判断する」ということで、先ほどの答弁と同じ。

☆質問
 中間報告の中で、条例の基本的な考え方として「制定そのものより、制定後の運用が重要であり、運用段階で細部の肉付けを行うとともに、継続的に調査研究を続け更なる条例の改善に役立てるというシステムの循環が必要です」と書かれている。様々な事例を集積していくということだったが、ここは今後のポイントなので、慎重に判断して欲しい。

☆質問
 昨年12月に、わが党の加賀谷議員が代表質問で「県議会や市町村との連携についてどう考えるか」と質問したのに対し、知事は「議会各会派に十分に説明していく」と答弁している。この条例が議会に上程され、審議に入るまでの過程において、各会派との情報共有、折衝等については十分だったのか。

★答弁(健康福祉部長)
 16年7月の障害者計画による提案以降、事例の募集、研究会の設置、研究会の中間報告、最終報告の取りまとめなど節目節目で、健康福祉常任委員会を中心として、議会に報告させていただいた。昨年末、条例要綱案の発表と同時に「必要があれば説明に伺います」と申し添えて、全会派の議員に条例要綱案を送付した。その後、通常の手続に加え、各会派からの要請に応じて随時内容を説明してきた。
 議員の皆様に十分ご説明し、ご議論いただき、ご理解いただく必要があることは当然であり、引き続き、条例案の内容について、十分ご説明し、ご議論いただきたいと考えている。

☆質問
 今の答弁では、説明の過程は滞りなく、問題なく説明されたというご認識か。

★答弁(健康福祉部長)
 先ほど「各会派からの要請を受けて説明した」と申し上げたが、我々としても、条例をしっかりご理解いただくためには、要請がなくてもこちらから積極的に説明をさせていただくべきではなかったかと、そういう意味で反省している。

☆質問
 今回の条例については、もっと各会派、各議員との情報共有をすべきであった。他会派からは当初「議論が拙速である」との意見も出た。他県に例がない先駆的なものであることや、内容が重要であること事前に分かっていたので、どんなに説明してもし過ぎではないと考える。

☆質問
 自分は、この条例の掲げる理念については深く共感している。これについて反対する人はいないと思う。運用に慎重を期して、県民一体となって取り組めば、真に県民のためになり、千葉の誇りになると思う。この点について知事の言葉で答えて欲しい。

★答弁(堂本知事)
 私の言葉で、お答えしたい。
 いろいろなタウンミーティングに、全県廻って出させていただいた。障害者の方たちから最初に出る言葉は、やはり自分の親などがいるところで住みたいということ。次は、どんな少しのことでもいいから自分で働きたい。それが2つ満たされたときに、最後に、地域で住めても働けても、もしそこで仲間はずれ、差別されたのでは居心地が悪い。住み心地が悪い。もし差別がなければ本当に一番うれしい。条例を作る発端と申し上げてよい。
 そして今、分権の時代に、1つ1つの地域、町でも村でも市でも、みんなが住みやすくなるということは、障害者が差別されないと同時に外国人も差別されない。高齢者も今虐待が問題になっている。児童の虐待も問題になっている。そういった意味で、そういう差別感を作らないということ。
 今先駆的、画期的とおっしゃっていただいたが、罰則ではない、差別する側とされる側の対立構造でもない、そうではなくて、どうやって本当の意味での人と人との信頼関係を作っていくかということが一番の根幹の精神だと思っている。

<呼びかけ人> 田上昌宏(千葉県手をつなぐ育成会会長)/竜円香子(同権利擁護委員長)/大屋滋(日本自閉症協会千葉県支部長)/土橋正彦(市川市医師会長)/植野慶也(千葉県聴覚障害者連盟会長)/野内恭雄(千葉県精神障害者家族連合会会長)/成瀬正次(障害者差別をなくすための研究会委員・全国脊髄損傷者連合会副理事長)/佐藤彰一(同・法政大大学院教授)/高梨憲司(同・視覚障害者総合支援センターちばセンター長)/野沢和弘(同・全日本手をつなぐ育成会理事)
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